福原直樹:黒いスイス、新潮新書059 次の質問に○か×かで答えてください。 問1 かつて、スイスは核配備の計画を進め、スイス・アルプスの山岳地帯に地下核実験場を建設する計画があった。 問2 スイスは、政府の援助のもとに、ロマ族(ジプシー)の子どもたちを次々と誘拐していた時期がある。 問3 外国人がスイス国籍を申請すると、国籍を与えるのに適切な人物かどうかを決めるために、住民投票を行う場合がある。 正解はすべて○である。
スイスはスウェーデンとともに核開発を計画していたことがあった。 フランスからウランも買っていた。
「青少年のために」という公共団体が1926年から1972年までロマ族の子どもたちを次々誘拐し、強制的に精神病院や施設などに入れた。子供たちは成人するまでロマ族の家族との接触は禁じられた。 ヨーロッパの他の国でもロマはもてあまされたのであるが、スイスでは積極的にその放浪癖を矯正させようとしたというわけである。 当時はやった一種の優生学を反映したものであったが、優生学に基づく政策、障害をもったものを断種するなどの政策はナチスの独占ではなく、 スウェーデンをはじめとする北欧や米国でも盛んに行われてきたことである。
1997年にバーゼル南東のプラトルンでの 町に本籍を持つ住民の投票権者約1700人の投票の結果 国籍を否決された22人はすべて旧ユーゴとトルコ国籍の人々だった。 国籍を認められた21人のうち20人はイタリアなど西欧出身者、残り1人は有名なスポーツ選手でスイス代表として活躍が期待された。 なぜと聞いたら、スイスのイメージにあった真のスイス人でないと(外国の文化をひきずっている)外国人は帰化させたくないと思う住民がいる、そう答えたという。
スイスにもネオナチのようなハンマースキンがはびこっている。 移民の流入で、生粋のスイス人の職が奪われるのではないかという親の不安が子供に反映しているのか。 1998年に著者は、スイス南端の町キアッソでイタリアからの(アルバニア系)コソボ難民が不法入国し検挙されるのを目撃する。イタリアの地下組織が高額を支払う者の手引きをしている。 スイスはEUに加入申請をしているが、その手続きの一部の国内投票では実現は困難との見方もある。 EUに加盟すれば、他の国がスイスの政策に介入したり、スイスが自ら決めるべき政策も他の国が決めるようになる恐れがあり、スイス国民が簡単にはEU加盟をうけいれたくないようだ。 コソボからの難民は一時認められたが、コソボ危機が終わるとスイス政府は難民の帰国を促進する政策をとったいる。
マネーメンダリング天国のスイス G13はお得意さんだった(?)
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小田中直樹:フランス七つの謎、文春新書427 目次のみ紹介します。 なぜ政教分離をめぐって延々と議論が続くのか なぜいつでもどこでもストに出会うのか なぜ標識がバイリンガルなのか なぜマクドナルドを解体すると拍手喝采されるのか なぜアメリカを目の敵にするのか なぜ大学生がストライキをするのか なぜ美味しいフォーやクスクスが食べられるのか フォー:ベトナムのうどん クスクス:北アフリカ地中海沿岸のマグレブ地方料理で、ひきわり小麦を蒸したスムールにトマト味で野菜たっぷりのスープをかけて食べる
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