クランツ 蓮井敏訳:大学授業の心得 玉川大学出版部
アメリカでは 希望者は全員が高校に進学するのは終わって これからは可能な限り、全員が大学に進学するようである。
大部分の若者が興味も目標もないままに大学に入ってくる仕組みは アメリカでも見られるらしい。 アメリカの大学教員も、そのつけがきて、教員は新入生の準備体勢や学習態度や動機についてほとんど期待できないようだ。
たいていの場合、とくに公立大学では、かならずしも特別に選別された学生たちを 大学教員が教えているわけではないのが現状である。 今日のアメリカの多くの公立大学は開放入学政策をとり、高校卒業生は誰でも州立大学に通う権利をもっている。 納税者の立場からすれば、こうした入学政策はまことに理屈にかなった話である。
むかしのドイツの大学と比べたら、天と地の差である。まさに日本の大学もアメリカの大学もエリートたちの大学ではない。大学の大衆化時代
したがって教員の心得としてもあたりまえのことが列記される。 学生の顔を見ながら講義を進める。 きちんと字を書く。 たえず質問を受ける姿勢であること。 するべきことを手抜きせず行う。 思いやりと包容力が必要である。 講義の前によく準備すること。 わかりやすい単純な例を挙げて説明すること。 ハラスメントに注意。
この著者はIT利用は好きでないようだ。数学ソフトのマスィマティカなど利用拒否。 OHPもあまり好きでないみたい。 TAも否定的 もっと任務内容を本人にまかせたら、TA本人のためになると思っている。
一般論を急がない。 これは理解できる。 時間になったらやめる。 これも実行している。 教科書や教材資料だけ与えて自習するのは効率が悪い。本に書かれていない大事なことがある。 (イー・ラーニングにしても面接する場面が必要であるから) 教師と学生との対話が重要 講義と教師の必要性を訴える。 この著者はインターネットによる講義は否定的。
オフィスアワーの利用 こうしてみると、日本の大学もアメリカの方法を取り入れていることがわかる。 著者はやや伝統的古典的な教授法の持ち主であるが、聞くべき点は多い。
現代の若い大学教員は、インターネットやマルチメディアの利用をすてられないだろう。 それはそれでよいと思うが、それらはあくまでも教育の道具にすぎないので、基礎としての大学教育の教えるべきテーマやねらいを把握して講義に臨むべきである。
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