男爵さん、みなさん、補足の補足です。
先日読んだ、I氏の文章は興味深かった。むかしフルブライト基金だか、ロックフェラー基金のお金でアメリカへ留学した連中は、口が裂けてもアメリカを悪く言わない、などと云う話を聞いた。
都知事が云うんならまだ分かるが、人もあろうに、日夜学生におフランス語を講じる先生が、フランス語の欠点をあげつらうというか、フランス語の明晰性に疑問を投げかけ、あれこれ検討している文章にぶつかった時『あんたはエライ』とつくづく感心した。
明晰性と云うのは、氏によれば、フランス人の独りよがりだというのである。これはフランス語に通じた外国人にして始めて言えることである。
ふつうは何十年もフランス語を講じ、それでメシを食っていれば、口が曲がってもその言語を貶めるような?ことはいわない。
たしかに明晰性を重んじるあまり、いきおい表現が長ったらしくなったり、まわりくどくなるのは避けられないのではないか。
英語では、彼の帽子はhis hat、 彼女の帽子はher hatで、まず間違いようがない。ところがフランス語になると、両方ともson chapeau。これでは現場に帽子を被った男女がいたばあい、どちらの帽子かとっさには判断できない。
英語では盗難はtheft,飛行はflightとはっきりしているが、フランス語のvolは時にはflightの意味になり、時にはtheftの意味にもなる厄介紋である。ピンクレディーではないが、ある時謎の運転手、ある時アラブの大富豪では、初心者は困るのだ。 (-_-;)
試みに怨羅院辞書で、theftをいれ、つづいてflightをいれてみて頂きたい。両方ともvolと出るはずである。
|