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[No.15792] 妖怪学新考 投稿者:男爵  投稿日:2010/09/22(Wed) 07:48
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著者はこの本の当時は大阪大学の先生である。

ここでいう妖怪の具体的なものは
 山男、雪女、天狗、ザシキワラシ、河童などである。水木しげるの資料を参考にするといいでしょう。

この池は行基が掘ったという。そのとき、人夫が足りないから、土の人形に生命を吹き込んで働かせたという。この土の人形の子孫が今日でもここらあたりに住んでいる。しかも一種の差別を受けながら生きている。
(松谷みよ子)
左甚五郎が、さる大名の命を受けてその館を造ろうとした。期限内に完成するのが危ぶまれたので、たくさんの藁人形をつくった生命を吹き込んで手伝わせてめでたく完成させることができた。その後、これらの人形を川へ捨てたら河童になったという。
(天草地方の伝説)

妖怪と神霊のおおざっぱな区別は
妖怪は祀られるものではなく、神霊は祀られる対象である。
妖怪の中には力あるものとして認められ、神霊に昇格して祀られるようになったものもある。その逆に神霊から妖怪にランク落ちしたものもある(著者の説)。

エジソンの電灯の発明と科学文明の発展によって
闇の世界は少なくなり妖怪も影をひそめてきた。
しかしなお、現代でも妖怪は生き残っている。

妖怪は人間と裏表の関係にある。人間がいなければ妖怪は存在しえない。
だから、山奥の過疎地域で妖怪はほとんど消滅してしまった理由の一つとして、妖怪文化を支える肝心の人間がいなくなってしまったことがある。

その反対に、多くの人々が住んでいる都市は妖怪の発生の条件を十分備えている。
科学が妖怪の存在を迷信として否定しているにもかかわらず、そのことを家庭や学校、マスコミなどを通じて教えられているにもかかわらず、妖怪を想像しそれを現実世界に出没させる人たち、いいかえると、妖怪という存在を通じて何かを表現したいと思っている人たちがいる限り、若い女性や子どもたちが現代の都市空間の中に妖怪を生み出し続けている。
たとえば口裂け女がその例であろう。