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[No.15680] 歴史への招待 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/27(Fri) 14:15
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明治の警察 加太こうじ

終戦まで
証拠がなくても、あやしい奴と警官が判断すれば
検挙できた。
当時の日本は警察国家だった。
それを作ったのが川路利良。
薩摩藩士だった彼は、江戸の藩邸にいた頃
西洋軍学を独学で学び、明治維新時には足軽大隊長をつとめた。
西郷隆盛のおかげで大警視(1872)にまで上りつめたのに
恩人西郷の暗殺計画に関係したと言われる。

川路は岩倉に従いヨーロッパに渡り
西洋の警察制度を視察した。
特にフランスの警察制度と実際のあり方を調べた。

明治6年に帰国しすぐ内務省を設置することを
政府に建議した。明治6年11月に内務省が作られ、
大久保利通が初代内務卿となる。
内務省は警察の元締めで、内務省の下に警視庁があった。
内務省は政治上の弾圧、選挙干渉、特高警察を設置して思想取締りを行った。
検閲制度により言論出版などを取締り
日本の専制政治、軍国主義に協力した。昭和22年に廃止。

川路がフランスに渡ったとき、当時のフランスは帝政から共和制に
移行したばかりで、自由、博愛、平等といっても
警察制度は民主的ではなく、専制政治のための国家権力だった。

フランス帝政末期の小説家ビクトル・ユゴーは1862年頃
に「レ・ミゼラブル」を書く。
日本では、虐げられた民衆であるジャン・バルジャンが、義人としての
すぐれた生涯をおくる物語として知られるが
ユゴーが設定した主題はあまり知られていない。
その主題を明確化することは、日本へ川路が持ち込んだ
フランスの警察制度を批判し、否定することになるから、翻訳の
「レ・ミゼラブル」では、その点をぼかすことが多かった。

ジャベル警視は、国家は法律により維持されているから、
法律こそ絶対だと思っている。だから法の執行者である警察官は
国民を直接統治する絶対の権限をもつと信じて疑わなかった。

法律を代表するジャベルと、人間を代表するジャ・バルジャンの対立が
「レ・ミゼラブル」の主題である。
民衆の蜂起によるフランス革命で、民衆の圧迫を法の名のもとに行う
政府は倒れ、それを知ったジャベルは自分の考えが敗北したことを認め
自殺する。
人間が作った法律が、人間にとり都合が悪ければ、人間の力で変えよう、
法の執行者の警官は人間へのサービスを職務とすべきだとする
ジャン・バルジャンの考えが勝ち、「レ・ミゼラブル」は
大団円となる。


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