[No.15851]
赤瀬川原平:老人力2
投稿者:男爵
投稿日:2010/10/02(Sat) 21:56
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老人力という言葉の提案者なので
インタビューを受けたり
あちこちの講演会に行って話したりする。
日本語の乱れが問題になっているこの頃
老人力という新語そのものが、乱れではないかという指摘はさておいて
定義した本人が首をかしげるような、老人力という言葉の乱れがあるという。
老人力というのを、いわゆる老人パワーというべきか、老人の持っている物理的なエネルギー量と考えて使っている例がある。
「まだまだ若いものにには負けませんよ」
「まだまだこのくらいの荷物は持てますよ」
「まだまだ徹夜は平気です」、
「まだまだ酒一升は飲めますよ」
こういう、まだまだではじまるいわゆる老人の単純な頑張り力に、老人力という言葉をあてている例である。
もちろん、年をとってもなお元気、筋骨リュウリュウ、欲望ギラギラというのは結構なことである。
しかし、そういう第一次産業的な力はいずれ衰えてくるもので
「いや衰えない」といって抵抗するかわりに
「これは衰えじゃなくて、力の変化なんだ」と考えるのが老人力で、それは第二次産業的な力というか、もしかしたら第三次産業かもしれないが、そんなようなニュアンスのことなのである。
みんな内心では、自分も体力気力が落ちた、物忘れもするようになった。こりゃ老人力がついたかもしれないと思っているが
いざ公式の場で口を開けると、老人力があるから階段もまだまだ昇れるし、このとおり元気ですと言いたくなるらしい。