[No.15873]
Re: 筒井清忠:西條八十
投稿者:男爵
投稿日:2010/10/05(Tue) 12:12
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> この本は
> 読売文学賞、山本七平賞特別賞・日本児童文学学会賞特別賞を受賞している。
>
> なかなか読みごたえのある本だ。
そろそろ図書館に返すので
大急ぎでメモ書きします。
戦時中に「同期の桜」などたくさんの戦争支援の歌をつくってきた西條は戦後に非難されることになる。
「軍国主義を肯定した」という批判に関し、西條は晩年次のような回想を残している。
ある歌人が、「若鷲の歌」の第四聯末尾の「母へ写真で送りたい」という箇所を「作詞者のセンチメンタリズムで女々しい。もっと勇壮に詩を結ぶべきだ」と攻撃してきた。
ところが終戦後、同じ人物が、今度は、西條を「戦犯詩人だ」と「掌を返すように文句をつけてきた」というのである。
西條八十や古関裕而の活動の周囲には、こうした自らの創造的活動には力なく、つねに体勢に順応しながら、他者を批判することで保身をはかるような人物が横行していたというのも事実なのである。
(藤田嗣治も戦争中の活動について、同じような裏切り行為をする仲間にあいそをつかしフランスに帰ったという話がある)
著者は
戦後に早稲田大学を退職したのは、大学内の派閥争いの結果で、西條をずっと支援してきた吉江教授のライバルが権力欲のため、西條たちを追い出したという説をいくつかの証拠をあげて述べている。
大学教授たちにしてみれば、大学の中で研究だけしていればいいものを、多くの歌謡曲をヒットさせ、芸能界のスターたちとも親しかった西條には嫉妬を感じていたので、それも西條追い出しのエネルギーとなったのであろうとも述べている。