[No.16150]
水木しげる:人生をいじくり回してはいけない
投稿者:男爵
投稿日:2010/11/22(Mon) 11:49
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本書は、水木しげるのエッセイ・インタビューのうち、おもに人生をテーマにしたものを集め、一巻にまとめたものである。 2010年4月発行
健康法なんて別にない。ただ一日9時間とか10時間眠る。アクセクしない。ゆったりとした生活である。睡眠はあらゆる幸福の元である。
自分の好きなことをやる。そのために人は生まれてきたのだと私は思っている。やりがいだとか、充実感とかいった言葉をよく耳にするが、結局は自分が好きなことにしか、そういうものは見つからない気がする。やりたいことが見つからないという人がいるが、まずは自分が好きなことは何か考えること。小さい頃に熱中したものを思い出すとよい。
でもそれは、あくまでも自分で探さなくちゃダメ。他人の評価や意見なんて関係ない。わがままであってもいい。私のところにも、自分は漫画家に向いているのだろうかと意見を求めに来る人がいる。そういう人は、もうその時点でダメである。
私は自分が幸福だと思っている。好きな道で六十年以上も奮闘して描き続けてこれたから。
好きなことに情熱を注いで、人生を生ききること。うまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。そんなときに、あたふたと騒がないほうがいい。幸福だの不幸だのといちいち口に出さないほうがいい。
人生にはいろんなことが起こって当たり前。それらに一喜一憂するのではなく、放っておくことである。人生をへたにいじくり回したところで、何の解決にもならない。起きてしまった不幸は、もうどうしようもない。ならば自然の流れに身をゆだねてしまったほうがいい。しょせん人間の力ではどうしようもないこともあるものだ。
ラバウルの人たちは、実にわかりやすい人生をおくっている。神様から与えられた人生を決していじくり回したりしない。だからこそ、幸せの空気に包まれているのだろう。