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[No.16152] 澤宮優:昭和の仕事 投稿者:男爵  投稿日:2010/11/22(Mon) 19:46
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メロウ倶楽部の
期間限定掲示板は
12月から新しいテーマ
「あなたの戦後は?」
に変わります。

>メロウ伝承館では
>戦後から高度成長期(東京オリンピック)くらいまでの記事
>にも力を入れて取り上げています。

メロウ伝承館の企画に応援する意味で
この機会に、「あなたの戦後は?」を色々書いてみてください。

というわけで
その資料となりそうな本を読んでみました。
 ここまでがマクラでした。

ーーーーここから 本文ーーーーーーーーーーー

かつてあったが今はもうなくなってしまった多くの仕事がある。
利潤や業績を重視した企業社会のもとで、すてさられた職人の仕事
弱者にとって夢も希望もない日本の貧困の世界
日本の年間自殺者は三万人を超える。

この本では
昭和二年熊本生まれの放浪詩人の半生を通じて、
今はもうなくなってしまった昭和のもろもろの仕事を記録しようというものである。
仕事に疲れてくると、この詩人は九州の山の中をさまよいながら暮らしたという。
ともかく彼の体験した仕事は次のようになる。
 チャンバラ劇団、担ぎ屋、闇市番人、飴屋、屋台店共同経営、古物商、易者
 焼き芋屋、作男、豚小屋番人、金属回収業、プレス工場重役、ボロ選別業
 ポン引き、紙芝居屋、ドブロク屋、文選工見習い、バラス砕石工場、医薬代集金人
 山師、味噌屋、書生、座元、石工見習、穏坊、立ちん坊、乞食見習い
 唄い屋、拾い屋、用心棒、三助、アベック旅館番頭、飯場人夫、製鉄所下請人夫
 門鑑渡し、沖仲仕、製缶工見習い、ペンキ屋、硝子工場人夫、左官手元、夜警

戦後にめったに見られなくなった仕事
 藍染め 鋳物師 桶屋 鍛冶屋 瓦屋 木地師 しょうけ作り 提灯屋
   *しょうけ:竹細工
 洗い張り屋 鋳掛屋 下駄の歯替え 蹄鉄屋 叩き出し屋 刃物研屋 羅宇屋 
 汚穢屋 貸本屋 行商 金魚売り ゴザ屋 札売り ポンせんべい屋 よなげや
   *よなげや:川に入って宝石や金を拾う
 車力屋 輪タク 門付け 紙芝居 三味線弾き 産婆 活動弁士 ちんどん屋

著者の実家は菓子屋であった。
開業は大正十三年
ロールケーキ、焼き菓子、水あめ、らくがんなど作って売っていた。
戦争が終わって、やがて高度経済成長になると既製品の菓子が出回り
職人の手で作らなくても、安くて、うまい菓子が手に入るようになった。
菓子屋はいつしか菓子の他に、煙草を売ったり、洗剤や化粧品、醤油、缶詰
長靴、サンダルなど並べた雑貨屋と変わっていった。
だが、雑貨屋はやがて登場する同じ目的にスーパーマーケットに客を奪われる運命にあった。
雑貨屋から客を奪ったスーパーもさらにチェーン店の大型スーパーに客を奪われ閉店した。
その大型店も郊外型の大きな駐車場をもつショッピングセンター(ショッピングモール)によって倒産した。
かくして全国の町のかつての中心街はシャッター通りとなって、マイカーのもたない高齢者には遠い郊外の大型店舗だけが残ってしまった。

日本が貧しいころ、庶民は多くの仕事に従事し自分の仕事に誇りをもっていた。
地域と人との濃厚なつながりがその頃の日本にはあった。
ところが、ものが豊になり、安くて便利なものが多く開発されるようになると、これらの仕事は自然に姿を消していった。
人が自分の仕事に誇りをもって一日一日を大切に生きた時代の仕事を、著者はなんとか記録に残したいと思って、この本を書いたという。


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