画像サイズ: 420×560 (56kB) | 世の中にはいろいろな商売があるが、この老舗めぐり、布団の次は金物である。創業は明治の7、8年らしい。商売は最初から金物というわけではなく、途中家具なども手がけたらしいが、古い記録がいま残っていないので、詳しいことはよく分からない。
初代は道太郎、金物を始めたのが忠次郎で、いまも丸に忠の字の商標を使っている。店内は夥しい品種の金物で満ち溢れているが、そのほか、店の隣の空き地には物置、ブロック、屋根材など、あらゆる種類の建材が所狭しと並んでいる。
この店の取り扱い品目では、金物より、各種建材のほうが比重が高いようだ。目に付いた草刈ガマには一本一本、(丸忠)が誇らしげについている。そこで鎌に話題を移すと、鎌は、お客さんがよく見ているらしく、ろくに使わない内に刃の毀れる粗悪品で散々こりたお客さんが八街あたりからわざわざ車で買いに来るという。鎌の袋には(丸忠)のほか、品質保証の4文字がひとつひとつに大きく印刷されている。
こういう店に来ていつも思うのは、これだけの品物をわずか数人の人員で処理するのであるから、ほんとうに大変だということだ。高度の商品知識とそれ相当の労力、その双方が同時に要求されるわけだから。 |