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[No.177] 「上りデータ」と「下りデータ」 投稿者:Kenza  投稿日:2010/02/13(Sat) 10:37
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官庁と国民の間でやりとりするデータには、「上りデータ」と「下りデータ」が
あります。「上りデータ」は、所得税申告のように、国民から官庁に提供する
データです。一方、「下りデータ」は、住民票や印鑑証明書のように、官庁が
国民に提供するデータです。

書類によるデータ提供の場合は、この上り下りの違いや、データの重要度の違い
によって、手続きの難易度が異なっています。たとえば、所得税申告は、本人
認証は三文判。データが安全に税務署まで届けられればそれで十分なので、
税務署に持参あるいは郵送ということになっています。だからこそ、書類ならば、
親の申告を子が行うことも簡単なのです。

ところが、イータックス、エルタックス、イーガブは、お役人が基本設計の主導
を怠り、ITマニアに設計を丸投げしたためか、書類の取り扱いとはまったく
整合性のないシステムとなりました。整合性があるように見えるのは、プリント
した書面だけ。e-Gov は、entangled Government の略かと思わせるほどの惨状と
なっています。

一番問題なのは、「上りデータ」と「下りデータ」を同列に取り扱っているうえに、
データの重要度も無視していることです。これによって、簡単に届けられる書類が、
電子化されると、複雑な手続きによってしか届けられなくなり、手軽に得られる
べき情報が、難しい方法でしか得られなくなっています。これでは、いくら笛を
吹いても、大衆は踊りません。