> 知恩院編 > 山本正廣著 > 物語法然さま
信者からの質問に法然が答えた問答集が残っている。
問い にら・ねぎ・にんにく・肉などを食べて、きつい臭いが消えていなくても、常に念仏申してもよいのでしょうか? 答え 念仏には、なんにも差しさわりがないのです。
問い 父母より先に死ぬのは、罪であるといいますが、どうでしょうか? 答え この世界ではよくあることで、悲しいけれど人間の力ではどうしようもありません。(だから、罪ではないのです)
問い 酒を飲むことは罪になるのでしょうか? 答え 本来は飲むべきではありませんが、この世の習慣でもありますから、罪はないでしょう。
問い 女性が生理のときは穢れているといいます。経を読むのはどうでしょうか? 答え さしつかえありません。(不浄では決してないのです)
問い 念仏を行じている人が、神社に参詣するのは、いかがですか? 答え 差し支えありません。
法然のわけへだてない平等の救済思想は、女性に対しても変わらなかった。 当時は女性は、救われがたい存在だとされていた。 (出家とその弟子にも、女は救われないのですかというセリフがある)
女性は、東大寺の大仏を遠くから眺めるだけで、大仏殿の扉の中には入れませんでしたと、この本に書いてある。
しかし、法然は女性が話を聞きに来るのをこばまなかった。 「法然上人行状絵図」には、法然の話を聞きいる人たちのようすが描かれているが 約四十人の中、十三人の女性が登場している。 また別の場面では、女性の一団に向かって話す法然の姿がある。
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