クロフツ:樽 樽から若い女性の死体が出てきた。犯人は彼女の昔の恋人フェリックスか。 彼はなんと、その樽の受取人であった。 その女性の夫もあやしいのだが、アリバイを調べると完璧である。
この小説では、樽がいっぱい出てくる。
第1の樽 晩餐会ののちの火曜日の夜、デュピエール商会から発送された。 ロンドンに送られ、翌朝ウォータールー駅で、フェリックスらしい男が受け取っている。
第2の樽 その2日後、すなわち木曜日の夜パリから発送され、 翌週月曜日にセント・キャサリン波止場でフェリックスによって受け取られ、 中にはアネット・ボワラック夫人の死体が入っていた。
第3の樽 同じ木曜日に、ロンドンからパリへ送られ、北停車場に到着すると ジャック・ド・ベルヴィルと称する男に引き渡されている。
結局、警察は女性の昔の恋人である画家を犯人として裁判にかけようとする。 しかし友人たちは彼の無実を信じて、有能な私立探偵に依頼する。
読者は読んでいくうちに、ほとんど犯人については確信をもつ。
探偵がアリバイを一つずつくずしていく描写に松本清張も感心したという。 推理小説の古典的作品。
この推理小説に刺激され 何人かの日本人が同様の推理小説を書いている。
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