エドガー・アラン・ポー:盗まれた手紙
古典中の大古典
エドガー・アラン・ポーは推理小説作家の創始者とも言われる。 江戸川乱歩はこれをもじってペンネームとした。
盗まれた手紙は、隠すテクニックがテーマ。 デュパンのもとに やってきた警視総監 さるやんごとないお方の夫人が、人に見せたくない手紙を 偶然そこに来た D大臣に持ち去られる。 それをもとに無理な政治的注文を受け、困って警視総監に取り返してくれるよう頼む。
警視総監は D大臣の留守をねらい、家捜し専門家集団の部下を使って探す。 しかし、いくら探しても D大臣の邸にはない。
警視総監から話を聞いて、数日後にあっさり問題の手紙を見つけたデュパンは 5万フランの小切手をもらう。
デュパンは著者に語る。 (総監は、D大臣が何か人目につかない穴や隅に当然かくすものだと思っている。 だが、こうした面倒な片隅にかくすことは普通の人間が行うことなのだ。 品物をかくす場合、こんな面倒なやり方で処理された品物は すぐ推測されやすいし、また実際推測されるものだ)
推理する者が相手と同じ知能の水準に立つこと。 それが成功の秘訣だ。
この心理的トリックは、後にチェスタトンが 「木の葉は森へ、死体は戦場へ」と表現して応用している。
この小説は、ホームズの「ボヘミアの醜聞」で、手紙が写真に置き換えられて 模倣されている。
「....死体は戦場へ」 おお、そうだ。「飢餓海峡」は死体を海難事故の多数の死体の中にまぎれこませたのだった。 水上勉も応用した。
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