いわさきちひろの絵 それに いわさきちひろ松本美術館におかれた感想ノートに書かれた文章のなかから 松本猛が選んだ文章 から成り立っている。
ちひろの本名は知弘だが 本人はこの漢字名はいやがって ひらかなで名前を書いていた。
ちひろは結婚したとき 夫となる人に気持ちがついていかなかった。 そのため相手の男性はまもなく自殺してしまった。
後悔したちひろは二度と結婚しないつもりだったらしい。 そこに現れた彼女より若い男性は、彼女の絵のファンだった。 真面目な人間性にひかれて、彼女はこの年下の男性と結婚する。
ちひろがスランプにおちいって絵が描けなくなったとき いつも、彼女は夫に話しかけるという。 彼女の言葉を、夫はにこにこ笑いながら聞くだけである。 そのうちに彼女は気持ちが落ち着いて、また絵が描きたくなるという。
まことに彼女の結婚はしあわせだった。 (同じようにスランプにおちいったとき、長谷川町子は同居する姉妹たちに もう漫画は描かないと言うと、みんなはまたはじまったとばかり、ではやめたら というので喧嘩になるという)
ちひろの子どもの絵はモデルは息子の猛なのだが 男の子、女の子、どちらともとれる子の絵もある。
この本には人魚姫の絵があったり 白いひげの紳士に手を引かれて港を歩く赤い靴の女の子の絵もある。
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