さいきんガッツは死語になったらしく誰も使う人がいないので、へそ曲がりの紋爺は、つい使ってみたくなった。
ここに取り出だしましたるは、岩野礼子なる人物の「英国解体新書」でごわす。
この仁、なかなか見上げた人物である。対日戦勝記念日(8月15日)を前にして、ロンドン在住の戦後っ子として、また日本人として初めて英国各紙に意見を投書した。
大新聞のインディペンデント紙からさっそく反応があり、終戦記念日の同紙に掲載された。反応はこれだけで済まなかった。相次いでBBC2からニュース番組への出演の依頼、ガーディアン、タイムズ、イヴニングスタンダード紙からも反応があった。礼子氏は最初の新聞以外はすべて断り、またテレビ出演もオッケーを出さなかったという。
投書の趣旨は日本政府はきちんと謝罪し、わたしらも過去を正当に認識することが必要、しかし、旧連合国が自分たちの戦争を正当化するのも正しくない、メディアの扇動のせいか、自分たち在英日本人が、個人的に誹謗中傷を受ける機会が増えているが、ただ日本人というだけで、こうした扱いを受けるのは不当である。
何人の、どういった人たちから侮辱的なことばを浴びせかけられたかについても堂々と記述。早速多くの人から非難の嵐がまき起こった、と。それが、当のイギリス人だけならまだわかるが、英国人を夫にもつ、日本人妻のものが相当数あったとか。
しかし、だからといって、礼子氏は憤然として荷物を取りまとめ、ただちに帰国したりはしない。永住の覚悟である。ちなみに、氏は王立園芸家協会、英国コテージ・ガーデン協会、英国ハリネズミ協会等の会員だそうだ。
礼子氏の場合、おそらく、一面酷過ぎる英国だが、身の回りに、礼子氏を理解し、こころから愛して呉れる、別れがたい友人知人が、数多くいるのであろう。
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