あとがきで著者の一人の竹信三恵子が書いている。
東日本大震災と福島原発事故で、被災者は苦しんでいる。 何とか立ち直ろう、次に踏み出そう、それを可能にする社会の支えが必要である。 その必要性を、この大震災は私たちに教えてくれた。 この本は、そんな安全ネットをどのようにしてつくっていくかを考えるために 作ったものである。
「失われた20年」と言われるこの年月、私たちの社会では 人が人間らしく暮らせる基盤がつぎつぎと突き崩されてきた。 安定して働ける正規雇用の仕事が大幅に減っていき これを後押しする労働の規制緩和が猛烈な勢いで進んだ。 「正規雇用」とされている働き方も不安定さを増し、労働から滑り落ちた人びとを 支えるはずの失業手当や生活保護などのしくみも 財政削減の大波の中で削り取られてきた。 自殺者は毎年3万人を越え続けている。
2008年暮れ、不安定な派遣労働者として働いてきた人びとが リーマンブラザーズの破たんをきっかけとした世界的な不況の中で 仕事を打ち切られ行き場をなくし、NGOや労働組合が設けた相談所や公園に 続々と集まる姿が、世界各地のメディアで報道されている。
第1章 安全・安心な生活を保障するセーフティネット 第2章 安心して働くことを保障するセーフティネット 第3章 いのちと健康を守るセーフティネット 第4章 老後を保障するセーフティネット 第5章 未来をたくす次世代を育てるセーフティネット
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