図書館で企画の一つとして ふくろうの本のシリーズを集め紹介していました。
「バルカンの歴史」はその中の一冊です。
旧ユーゴスラヴィアのマケドニアの一寒村に生まれてアメリカに渡り 第二次世界大戦後にアメリカのバルカン史研究者となった ストヤノヴィチは 「バルカン地域は最初で最後のヨーロッパ」だと述べている。
「第一のヨーロッパ」である古典古代のギリシア・ローマの時代に ヨーロッパで最初に農業が広まったのがバルカンであったし 初めて都市が築かれて民主政が進展したのもこの地域であった。
その後、395年にローマ帝国が東西に分裂し、さらにキリスト教も ローマの西方カトリック教会とコンスタンティノープルの東方正教会とに分離して 「第一のヨーロッパ」は西欧世界とビザンツ世界とに分かれる。 バルカンはビザンツ世界に組み込まれ、14世紀以降はオスマン帝国の支配下に置かれた。
近代にいたり、18世紀後半に産業革命と市民革命を経た西欧が 「第二のヨーロッパ」の形成に取り組んだとき、これに最後に加わろうとしたのが バルカンであったと、ストヤノヴィチはいうのである。
|