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公共放送であるNHKがなんと、今回の震災では、世界に向けて インターネット上でのストリーミング放送という前代未聞の柔軟な対応を とったのだ。 これは国内はもとより、海外のマスメディアも大いに注目すべき快挙だった。
最初のきっかけは、広島県に住む中学2年生の男子生徒だった。 ツイッターのツィートのまとめサービスであるTogetter に この件についてのツイートの記録が残っている。
それによると、はじまりは、3月11日の地震直後に この男子学生が無断でNHKのテレビ放送をウェブカメラを通じてUst上で 配信しはじめたことだった。
このことを伝えたいくつかのブログによると 彼は「○○○にお住まいの方は避難してください」といった 地震速報の重要な部分を読み上げたりもしていたという。 Ustだから、視聴者同士、コメントのやり取りもできる。 素人なだけに画像の質はよくなかったようだが、視聴者数は 順調に増え続け、一時は4万人にも達したようだ。
やがて、あるユーザがこのことをNHKの公式ツィッターアカウント に伝え、拡散ツィートするように提案した! 無断配信行為をNHK自ら広く周知させてくれ、とNHKに提案すること自体 驚きなのだが、さらに驚くべきは、それを受けてNHK公式アカウントは これをほんとうにリツィートしたことだった。しかも感謝の言葉とともに (記録によると、このツイートは3月11日午後5時20分になされている)。
そして、それから3時間後の午後9時33分、NHK公式アカウントは とうとうNHK本体がUst上で公式に再中継をすることを告知する。
これにより、被災地を含むテレビが映らない地域にいた日本人だけでなく 世界中の人がNHKのストリーミング中継を視聴することができるようになった。
NHKは震災後は四六時中震災に関するニュースを流し続け、ストリーミング中継には 多いときは100万人を優に超える同時閲覧者がでることになった。
これは驚きだった。 超法規的な英雄行為。
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