セロ弾きのゴーシュ は宮沢賢治の童話。
水車小屋でゴーシュがセロの練習を 一生懸命していると 毎晩、動物たちがやってくる。
最初の晩は三毛猫が来る。 シューマンのトロイメライをリクエストする。 しかし、ゴーシュは「印度の虎狩」を演奏する。
次の晩にはかっこうが来る。 かっこう かっこう かっこう かっこうワルツではない。
次の晩には狸の子がやってくる。 愉快な馬車屋をリクエストする。 狸の子は(ゴーシュが)二番目の糸を弾くとき遅れることを指摘する。
次の晩は野ねずみの親子がやってくる。 野ねずみの子にセロを聞かせて病気ほ直してくれと頼まれる。 セロの穴から野ねずみの子を中に入れて音楽を聞かせたら元気になる。 そのときの音楽はなんとかラプソディであった。 というわけで 動物たちのおかげで練習もはかどり 演奏会が成功すると、さすがの楽長もゴーシュの腕が上がったことを認め アンコールにゴーシュは印度の虎狩を弾く。
印度の虎狩という曲は、この童話に出てくるだけで 実際にはない。 三毛猫のリクエストのトロイメライは弾かないし かっこうワルツやなんとかラプソディも弾いたかどうかはあやしい。
宮沢賢治は上京して、新交響楽団(NHK交響楽団の前身)の楽士だった大津三郎の自宅に練習のために通っている。 しかし、賢治はセロが下手だったとはみんながいうこと。
賢治は父親から金をせびり立派なセロを買ってもらう。 このセロは後に、友人だった花巻高等女学校の音楽教諭・藤原嘉藤治のセロと交換された。 藤原嘉藤治は盛岡で演奏会にたびたび出て弾くのだが、彼は貧しいから 賢治のセロより見劣りのするセロで弾いていた。 そこで親切な賢治は、嘉藤治のセロと交換してやったのである。 嘉藤治のセロには穴が開いており、この穴がこの童話の子ねずみが出入りする穴のヒントになったといわれる。 賢治のセロは戦争中は嘉藤治が所有していたために、賢治の実家の空襲被害から免れることができた。 このセロは藤原嘉藤治の死後に寄贈され、花巻市の宮沢賢治記念館に展示されている。 情けは人のためならず。
ラプソディで思いつくのはこれだけ。 東京ラプソディ 藤山一郎 http://www.youtube.com/watch?v=7QJutwCtHQY
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