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[No.29] ペットは人間のお医者さん 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/04(Mon) 08:48
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林 良博:ペットは人間のお医者さん 共に暮らすための知恵と実践 東京書籍 

ペットの心あたたまる話ではなく
獣医師としての、ペットに対する各種人間の立場をそれぞれ
論じた本でした。

猫好き人間、犬好き人間、中には犬も猫も好きな人がいるが
この著者は犬好き人間らしい。

狼は群れをつくる。
リーダーの指示のもとに整然と暮らす。
したがって、リーダーに柔順である。

犬は、狼のうち比較的人間に柔順な(幼かったり、仲間はずれだった)狼が
人間に飼われて、犬になったらしい。

もともと狼はリーダーに柔順なので
人間の主人に柔順なのだ。
  いうことをきかないワガママ犬は、躾ができていない犬で、そもそも飼い主の責任である。というのが著者の意見。

犬は人に柔順。
猫は気まぐれ、誇りが強い。

犬と飼い主は双生児型(相互干渉型)であり
猫と飼い主は独立型である。

美食家の猫と何でも食べる犬
 猫は骨に含まれる無機質を多く取ると病気になりやすい。
 ペットフード業者はそれを知っているから、肉の多い部分をまず猫用に使い、残りを犬用に使う。

犬にチョコレートを与えると、カフェインのせいで興奮し、なかには死んでしまう犬もいる。

こちらに書評があります。
http://www.nekohon.jp/books/hayashiyoshihiro-pettoha.html


[No.36] わが最良の友 動物たち 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/05(Tue) 08:16
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遠藤周作:わが最良の友 動物たち
 
作家の遠藤周作は動物好き。

犬、猫、猿、九官鳥、家鴨まで飼ったようです。

遠藤文学の原点、動物を飼う意味を妻の口から語っているのが下記の文章です。

....
ことに犬に対しては特別の感情があったようです。
この本にも出てきますが、大連時代に飼っていたクロに対する贖罪の気持ちは、彼の小説の原点の一つになっていただけではなく、一生を通じて犬を飼うときの基本姿勢になっていたと思います。

両親の間にできた溝が修正不可能となった頃、二人の言い争いを聞くのが辛くて、小学生だった主人はクロを連れて夜の公園に避難したといいます。クロに話しかける幼い周作の辛い気持ちをクロは完全にわかっていたと主人は後になって書いています。

いよいよ両親は離婚と決まり、幼かった主人も辛い選択を迫られました。母や兄と内地へ帰るかクロと一緒にいたければ父と大連に残るか二つに一つです。
周作はクロを連れてゆきたいと泣いて頼んだそうですが、離婚して内地へ帰ってからの生活のめども立たない母にとってクロまで連れて帰る余裕はありません。クロと大連に残れば新しい女性を母と呼ぶことになります。

それは十歳の少年には耐えられぬことでしたでしょう。そのことを今日はクロに話そう、今日は告げようと思いながら言い出せないでいる内にとうとう別れの当日になりました。

後はこの本の中に出てくる主人の文章でお読み頂いたほうが主人の気持ちが読者の皆様にも通じると思いますが、そのとき馬車を追っかけるのを諦めて立ち止まり、どうしてそんなひどいことができるのだ? と悲しそうに自分を見つめていたクロの顔を忘れられないと、私が嫁にきてからすぐの頃、苦しげに話してくれたことがありました。

「自分の弱さと生活上の理由のために、俺のことを一番信頼してくれていたクロを裏切ってしまった」という悲しさは生涯主人につきまとっていたようです。

以来どんな犬を飼っても、どんな名前をつけても、それはクロにできなかったことを、代わりにその時飼っている犬にしてやって、せめてもの償いにしているといった雰囲気が濃厚でした。
.....


[No.53] 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/06(Wed) 19:39
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「君がいてよかった(犬がくれた40の物語)」

(財)日本動物愛護協会が
「君がいてよかった」エッセイ大募集の応募作品の中辛
40編を選出し、収録した本。

簡単に紹介します。

○おじいさんわんこ

 5歳の時、母方の祖父母に預けられた。両親は自宅も兼ねた小さな医院の開業の
準備で忙しかったから。祖母はお手玉を作ったり、たくあんの海苔巻きを食べさせ
たりと、かわいがってくれたが、早く母親が迎えに来てくれる日を心待ちにしていた。
 ある夜に裏口が開いていたのか、土間に陽気な顔の犬がしっぽをふっていた。
犬にさわったこともないのでそばに近寄れず、手元にあった煮干しの缶から
ひとつかみ投げてやると、犬は土間の小魚を食べ嬉しそうに見えた。
祖母は、500メートル先の踏切を越えた牛乳屋さんの飼い犬だが、この家の中に
入ったのは初めてだ。お前と遊びたかったのだろうと言った。年をとっているから
「おじいさんわんこ」と名づけた。
 おじいさんわんこは次の夜もやってきた。また煮干しを投げてやったら、そこに
祖父が帰ってきて、土間の煮干しを見ると怖い顔をして大声で犬を追い払った。
祖父が怒ったのは、缶の煮干しは、飼っている20羽ほどの鶏に与える貴重な餌だった
からだ。
 もう来ないと思ったおじいさんわんこは、翌日の昼に、祖母と近くの山に焚きつけ
用の小枝を拾いに行くところに現れた。犬がついてきたので嬉しくなって
犬の背中を撫で、頭を撫でた。犬は穏やかな表情でじっとしていた。
 翌朝、母が迎えに来た。祖母は時々手紙をくれた。おじいさんわんこは何度か
きたがそのうち来なくなった。そして、秋の終わりの手紙で、おじいさんわんこが
踏切で電車にはねられて死んだと書いてきた。
 もう50年近くもたつのに、一緒に過ごした時間はごくわずかなのに、おじいさん
わんこを思い出す。

5歳の幼女の思い出でした。
いい老犬とのふれあいは、この女性に大きな喜びを与えてくれた。

車にはねられるケースは、犬より猫が圧倒的に多いといいます。
猫は急に走ったりと不規則な運動をして、まわりをあまり見ていないようです。
このおじいさんわんこが踏切で列車にはねられたのは、やはり年をとったからでしょうか。


[No.57] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/07(Thu) 07:37
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> 「君がいてよかった(犬がくれた40の物語)」
>
> (財)日本動物愛護協会が
> 「君がいてよかった」エッセイ大募集の応募作品の中辛
> 40編を選出し、収録した本。
>
> 簡単に紹介します。

○君たちがいた日々

田舎の高校に、シロとチビと呼ばれた二匹に犬がいた。
誰に飼われたということもなく、誰かが決まって世話するということもなかったが
何かしら餌をもらって、ほとんど学校に住んでいるようなものだった。
シロとチビは仲良かったから、いつか結婚して、子犬が生まれたら
どんな名前にするか、誰が連れて帰るか、みんなで考えていた。

あるとき、中庭で吠えながら逃げ惑うシロとチビの前後に青い作業服を着た男性たち
がいるのが見えた。みんな教室の窓から心配そうに見ていた。

そのとき、中庭に現れたのが体育の先生だった。この体育の先生は厳しくて
強面(こわもて)の先生だったから、みんな生徒たちはこの先生が作業服の
男性たちを呼んだのだと思った。

しばらくその男性たちと話し込んでいた体育の先生は、檻に入れられたシロとチビ
を出してもらって、二匹を抱きしめ体育教官室へ歩いて行った。

体育の先生と仲の悪い現代社会の先生が、嫌がらせで保健所に知らせたらしい。
それに気づいた体育の先生が事情を説明して、シロとチビの正式な飼い主になる
手続きをしていると、早耳のケンが知らせに来た。

生徒たちに見直された体育の先生はそれから人気が上がっただろうか。
首輪をつけられたシロとチビ。何年たっても二匹の間に子犬は生まれなかった。
二匹は雄犬だったから。


[No.61] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/07(Thu) 19:29
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> > 40編を選出し、収録した本。
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○愛犬「ウメ」のボランティア

中学二年の娘が
道ばたに捨てられていた雌の子犬を拾ってきてから
13年の年月が流れた。

「ウメ」と名づけた子犬も老境にさしかかった。

「ウメ」を連れ、いつものコースを散歩していたとき、雄の老犬が現れ
遠慮しながら、とぼとぼとあとをついてきて、とうとう自宅の門扉の前に座り込んだ。
「ウメ」はそれを見て、哀願の顔をする。

「ウメ」の気持ちを察して、「ウメちゃん、飼ってやろうか」と声をかけると
わかったのか「ウメ」は門扉の前へ喜々として走って行った。

それから庭で放し飼いにされた老犬は、ほとんど動こうともせず寝そべっていた。
人間不信におちいっているのか、私たち家族にはなじまなかったが
「ウメ」にだけは長年の友のように気を許していた。

ある日の深夜、悲しげな「ウメ」の鳴き声に飛び起きると、老犬が息絶え絶えに
なっていた。やがて、シッポを二、三度振ったかと思うと、あっけなく死んでいった。

ウメに看取られて死んだ老犬は幸せだったかもしれない。
犬も(犬の)ボランティアの役割をしたのだ。


[No.79] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/11(Mon) 10:36
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○伯母のチビ

お世話になった人が急病になり、犬を預かってほしいと頼まれる。
年寄りの、おとなしいオスの柴犬だった。
断りきれず承諾したが、アパート暮らしでは、犬は飼えない。

困って、持ち家で一人暮らししている伯母に頼み込む。
伯母は、気難しく、息子夫婦との同居も拒み、人づきあいもあまりしない人。
とても頼みにくいが、他に頼める人はいない。

伯母はけんもほろろ、それでもしかたなく、手を合わせ頼み込む。
庭の隅に犬小屋を置かせてもらう。世話は私がすべてする。
毎日伯母の家に通って、朝は出勤前にエサと水をやり、仕事帰りに、散歩とフンの始末。

ある日、突然3日間の出張が入り、その間だけ、伯母に頼まなくてはいけなくなった。
伯母はカンカン、約束が違う。とにかく平謝りに謝る。
散歩はさせなくてよい。フンの始末と水とエサだけやってもらうことを、なんとか了解してもらった。

3日後行ってみると、伯母は犬の散歩から戻ったところだった。
「伯母さん、ごめんね。でも散歩はいいって言ったのに」
「そういうわけにもいかないでしょ」
よく見ると、エサも、私が買い置きしたお徳用のものよりもっと高価そうな缶入りのエサだった。

それから、伯母はもっとチビ(犬)の散歩の時間を長くしたほうがいいとか、ブラッシングしてやれとか指示するようになった。
  犬の名はケンタなのだが、伯母はチビと命名していた。

やがて元の飼い主が退院して、伯母と犬の別れのときがきた。
「いなくなってせいせいするよ。こいつのせいでいろいろ時間をとられたしね」
私が車に犬小屋と犬をのせたら、「とっとと連れて行きなさい」と、見送らなかった。

それからしばらくして、伯母の息子から、伯母が元気をなくしてふさぎこんだようになったと電話で言われた。

私は、犬の飼い主に打診したところ、そんなにかわいがってくれるなら、その犬は進呈すると言われた。
早速伯母に電話して、飼い主の都合でまたあの犬を預かることになった。
ついてはまたお願いできないかというと、伯母は少し上ずった声で
「仕方ないわねえ、いつ連れてくるのよ」と聞いた。

ケンタ、いやチビは今も伯母の家にいる。
伯母は憎まれ口をききながら、チビの面倒をみている。

人は言っていることと思っていることが一致してはいない。
相手の言葉の裏にある真意を推察することに慣れたほうがいい。


[No.86] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/14(Thu) 06:57
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○エスの涙

幼稚園児の頃、新しく入ってきた子がいた。
その子は、乱暴者でもなく、いたずら者でもないのに、なぜかのけ者にされていた。

その子は家に近かったし、興味があったので、話しかけて親しくなっていった。
その子の家には、やさしそうな母親と片耳のちぎれた雑種の子犬がいた。
「この子は友達がいないからよかったわ、なかよくしてね」母親は嬉しそうに言った。

夏休みに、その子と子犬と、近所の空き地や草むらや川で遊び回った。

夏休みが終わり半月すぎると、別れが突然やってきた。
「引っ越すんだ。エスは連れていけないし、おれ...」
彼はあふれる涙を袖口でこすりながら泣いた。
「おれ、おまえのこと、一生忘れない、おれの友達はエスとおまえだけだったのに、両方ともいなくなるなんて。あーん」
彼が号泣しだすと、エスも悲しげに「くーん」と鳴いた。

彼の一家がいなくなって一週間がすぎた。
僕の家で飼われていたエスがふいにいなくなった。

二日間探してもいない。
もしやと思い、引っ越していった彼の家の場所に行ったら、犬小屋のあった場所にエスは、ひもじそうにうずくまっていた。
抱き上げると、「くーん」と鳴いて、僕を見上げた。

その年の夏は僕が生まれて初めて人の差別や動物の無垢の愛情を知った年になった。
エスは、その後の僕の人生を僕の少年時代といっしょに過ごしてくれた、かけがえのない存在になった。


[No.104] Re: 君がいてよかった(犬がくれた40の物語) 投稿者:男爵  投稿日:2013/03/17(Sun) 19:00
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○ツアーワンダクター

高校の修学旅行
せっかく泊まった平戸は
着いた日はどこも見学せず
翌朝、朝食後に帰るという。

たまたま朝早く起きたので
旅館の玄関で、どこかに行こうかということになったが
全然見当もつかない。

そこに一匹の犬が現れたから
「地元のことが詳しいと思うけど、どこか名所に案内してくれたら嬉しいなあ」
と言ってみたら、犬が駆けだしたから早速ついていった三人の女子高生。

藪を越え、小走りに走って10分後、にわかに視界が広がり
「崎方公園」と書かれた案内板が現れた。
「サンフランシスコ・ザビエル記念碑だって」

まさかと思って犬についていって、最高の観光地に案内されるとは。
水呑場で水を手で汲んでワンコに飲ませ、一緒に記念写真を撮る。

ふと気がついたら、もう朝食の時間
「帰ろう」とみんなで話し合うが宿の名前も知らない。
困ったので、またワンコに頼むと、また走り出した。

今度は走りやすい道だった。
「方向が違うみたいだけど」なと言いながら
みんなで犬の後を追いかけたら
来たときよりも短い時間で宿の前に着いた。

犬のツアコンダクターのおかげで
効率よく名所を見学できたという話。


[No.62] Re: ペットは人間のお医者さん 投稿者:まや  投稿日:2013/03/07(Thu) 22:14
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男爵さん

> もともと狼はリーダーに柔順なので
> 人間の主人に柔順なのだ。
>   いうことをきかないワガママ犬は、躾ができていない犬で、そもそも飼い主の責任である。というのが著者の意見。
>
 
 犬が主人のいうことをきかないのは「躾ができていない」というよりも、
その犬は自分のほうが主人より上位だと思っているのです。飼い主さんが
変わらないかぎり、その犬はいつまでも「わがまま犬」でいるでしょう。

まや