「放浪記」 1961年10月20日に芸術座で初演された舞台劇です。
林芙美子の小説「放浪記」をもとに 脚本・演出は菊田一夫、音楽は古関裕而、主演は森光子でした。 主演の森光子は初演から死去まで変更されず、林芙美子を一人で演じた。
菊田の死後、1981年から1996年までは三木のり平が菊田の脚本を潤色し、演出もてがけた。 三木のり平のアイデアで、森光子が舞台で、でんぐりかえりをする。
若き日の菊田一夫は文学青年をこころざし、サトウ・ハチローの世話になる。 サトウ・ハチローは父の支援により自分の部屋をもっていて、そこに菊田らを同居させていた。
浅草の舞台でエノケンが活躍するころ、サトウ・ハチローの指示により 苦労しながらその脚本を書いていた。これがのちに彼が劇作家として大成する基礎となった。
文学をこころざす彼らのところに、ときおり林芙美子もやってきた。 売れない文章を書きながら女給として働いていた林芙美子は ときおり一升瓶をさげながら、彼らの所に命の洗濯にやってきたという。
彼らの青春を振り返るとき、林芙美子のことが忘れられず 菊田一夫は彼女のことを舞台劇にしたのであろう。
彼女の最初の夫は、同好の文学青年だったが 彼女の作品に嫉妬したりして暴力を振るい結婚は不幸であった。 のちに「放浪記」の劇に出てくる画家の青年と知り合いになり これがやさしく彼女をはげます夫となり、この夫のお陰で 女流作家林芙美子が誕生する。
森 光子は 2012年11月10日に亡くなりました。(満92歳没)
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