S・キューブリックの映画『博士の異常な愛情』(1964)は、東西冷戦構造(すなわち核兵器による恐怖の均衡)下にあった米国の政治・軍事を風刺したブラックコメディです。公開から50年経ち、環境は大きく変わっていますが、ユーモアは笑えるし、風刺の力は弱っていません。 キューブリックの作品は『スパルタカス』以降ほとんど観ていますが、本作品は『2001年宇宙の旅』とならぶ秀作であると思います。
後に『ピンクパンサー』のクルーゾー警部役で活躍した、ピーター・セラーズがDr.Strangelove、大統領、英空軍大佐の三役を演じています。
原題 は副題がなんとも長い ”Dr.Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb” 。邦題も負けずに『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』と長い。通称の『博士の異常な愛情』はヘンな訳。ずばり「ドクター・ストレンジラヴ」では客が入らないと考えたのかも・・・
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