1980年代のはじめまでは、勤め先には、和文タイピストのという職種がありました。 「和文タイプ」を打つということは、たくさんの文字が並んでいる板のなかから、一字一字 文字を拾い上げていくという、大変根気のいる難しそうな仕事のようでした。
1970の終わり頃、ある日の新聞に 「ワードプロセッサーという機械が発明された。それまでのカナタイプとは違い、簡単なコンピュータ操作で『かな・漢字混じりの文』を書くことができる。和文タイプとは違い習熟に時間がかからず、少し練習すれば、シロウトでも使える」 という記事がでていました。
当時から、悪筆に悩まされている私には福音でした。 遠い将来、自分もそういう機械を手に入れられたらいいな、と密かに期待していました。
その時代は、以外に早く来ました。 個人向けの、比較的安価な「ワープロ機」が登場したのです。 初期の製品は一行くらいしか画面に現れず、実用には適しませんでしたが、1980年代になると「書院」「OASYS」「文豪」「Rupo」などという、いろゆる「ワープロ専用機」が相次いで個人向けに発売されるようになりました。 私もその一つを求めました。
そのうち、パソコンが普及し始めましたが、ここにも「ワ―プロソフト」が入っていて助かりました。
少なくとも、私は「ワープロ」から大いなる恩恵を受けています。 よく「ワープロのおかげで漢字が書けなくなり嘆かわしい」とおっしゃる方がおられます。 私の場合は、どっちみち日頃、難しい漢字なんて書いていなかったので、漢字が書けないのはワープロのせいではありません。 むしろワープロのおかげで「自分には書けない字」でも、どんどん使って文章が書けるのは素晴らしいことだと思っています。
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