騙すつもりの話ではないのですが 世の中には、結果的に騙した、騙されたということがあります。
さて、昨日読んだ推理小説ですが 孫のことを可愛がってくれるおじいさんが、なけなしのお金で生命保険に入っていたのです。 警備員の仕事で疲れたのか、だんだん元気がなくなって、病院に行ったら末期の胃がんだということがわかり いまわのきわに、死んだら1000万円の生命保険がもらえると言いのこします。
ところが、葬式も終わり、死亡診断書など書類一式を保険会社に提出したのに 保険金がおりないのですね。
おじいさんは、保険契約の一年半前に、内科医院に胃潰瘍で一週間入院していたことを保険の外交員に教えていなかったらしい。
胃がんと胃潰瘍は因果関係があるのではないか。 おじいさんは自分の死ぬのを予感していて、もう長くないと思って高い保険に入ったのではないか。
保健会社にしてみたら、保険金ねらいの困ったお客だというわけです。(あの和歌山カレー事件の犯人のように、保険をかけた相手を農薬で殺す。受取人は自分。 そういう被害に保険会社もたびたびあっているようです)
嫁は、おじいさんが必死になって大事なことを伝えたのだし、日ごろの真面目な生活態度からしても、嘘をつく人ではない。 だから、告知義務を知らなかったのではないか、あるいは保険の外交員から、過去の入院のことを聞かれて胃潰瘍のことも話したのに、それを書くと保険契約できないと判断して書類に書かなかった保険外交員が悪いのではないか...などなど当事者の立場では色々言いたいことが出てくるのです。 このお嫁さんは、おじいさんの息子つまり夫を交通事故で亡くし、二人の子どもを抱えて苦労している。
いっぽう 保険の外交員もノルマに追われ、固定給の出るのは数ヶ月だけ、業績が悪ければ固定給もへらされるから、架空の契約をつくって、自分で月々の保健料を納める外交員もいるとか。
彼女たちは足をまめにして日々町中歩き回っているのに、保険会社の女子社員は会社のオフィスで冷暖房付き。保険の外交員は女子社員のように社会保険もなく、会社の保養施設も利用できない。
保険会社は、保険外交員の彼女たちが血と汗で集めたお金で、ビルを建てたり、そういう資金をつかって利益を上げているのに。
使い捨ての保険外交員 言葉巧みに説得され保険に入ったのに、いざというとき保険金が支払われず困り怒る庶民 などなど作家は上手です。
夏樹静子:遠い約束
だいたい契約書の大事なことは、細かい字で書かれてあり、読みにくいし、読んでもさっぱりわからない日本語です。
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