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[No.15439] 破戒 投稿者:男爵  投稿日:2010/07/03(Sat) 08:32
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島崎藤村の名作を一度読んだが
改めて読み直してみると
信州の地名がいっぱい出てくる。

何度も長野県を訪れ
場所がわかってくると
この小説の中に出てくる地名が具体的に理解され
あああそこだったんだと思う。

瀬川丑松は飯山の蓮花寺に下宿を変えた。
前いた下宿で、ごたごたがあったからである。
それは彼の身の上にも関することで
なるべくそういう煩わしさから遠ざかりたかったからである。

この小説の書かれた頃には
飯山の町は
「奇異な北国風の屋造り、板葺の屋根、または冬期の雪除けとして使用する特別の軒庇から、ところどころに高く顕れた寺院と樹木の梢まで すべて旧めかしい町のありさま」
というようだったのだろう。
「冬期の雪除けとして使用する特別の軒庇」とは雁木のことであろう。
今も飯山には雁木が残っているのだろうか。

丑末は、小諸の向町で生まれた。一家は零落し、小県郡(ちいさがたごおり)に移り
丑松が禰津(ねづ)村の小学校に通うようになってからは
彼の出身地や出生の秘密は誰も気がつかなかった。
さらに父は姫子沢の谷間に落ち着き、叔父夫婦と一緒に住んだ。
師範学校を出て教員になった丑松に、父は決して身の上を打ち明けるなと言う。
後に父の葬儀のために丑松は姫子沢に行く。
 ノノウは信州小県郡禰津村に住む巫女のことである。
 巫女達は比較的自由に国境を行き来し、諸国の事情に詳しかったため
 織田信長や真田信繁(幸村)など戦国武将の情報源として 重んじられたのである。
 大河ドラマ「天地人」(直江兼続)では
 若き与六(兼続)は戦火によって荒れ果てた善光寺で、
 神秘的で美しいノノウの初音に一命を助けられる。

丑松が父の葬儀に向かうため、乗った汽車は乗換駅豊野で
直江津からの列車を待つ。その列車から降りた客が乗り込む。
これも実際に豊野を通った今となっては、場所がよくわかる。