丸かじりシリーズ 読んでいて面白い。 東海林さだおの文書は口語調で一種説得力がある。 文章を書くときの参考になる。
たぬきそばの丼いっぱいに敷きつめられた天かす。 この天かすがうまい。そばつゆにもあう。 全く同感。 しかし、注文を言うとき「たぬき」とは言いずらい。 なぜか。 著者はその理由を、「たぬき」というちょっとマヌケな響きがよくないのだという。 そして、たぬきにはもう一つ、お得感と反対のイメージのお損感があるからという。 天かすはタダ、という思いがどうしても頭に浮かぶ。 実際、お総菜系の天ぷら屋では、小さなポリ袋に入れて店頭に並べタダでくれるところもある。
どのそば屋も、きつねとたぬきは同値段である。 きつねのほうの油揚げは一枚百二十円はする(2000年当時の値段)。 半分としても六十円。最低六十円はかかっている。 それなのに天かすはタダ。タダなのに同値段。 どう考えても損だ。どう考えてもシャクだ。 そういう思いがするので、東海林さだおはたぬきそばを注文するときためらうらしい。
皆さんもそうでしょうか。 私はたぬきそばもいいが、ついリーズナブルな値段の野菜天ぷらそばを注文します。 ときとして、テーブルに天かすの器がおいてあって、好きなだけそこからとって 自分の丼に入れる店もあり、そういうときは自動的にたぬきそばも味わえます。
そういえば思い出しましたが 新潟県の栃尾に行ったとき、名物の厚揚げが一枚百六十円でしたね。
「関西のたぬき」と「関東のたぬき」は全然違うらしい。 ここで書かれているのは、関東のたぬきのことです。
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