著者のウルリッヒ・リンツはこの本をエスペラント語で書いた。 それを栗栖継が訳した本である。
エスペラント語は ポーランド生まれのユダヤ人ラザル・ザメンホフによって考案された 人工的な言語である。 彼の生まれた町ビャリストクではロシア人、ポーランド人、ドイツ人そしてユダヤ人が一緒に住んでいたが、これらの民族は互いに憎みあっていた。 彼は大きくなったら、共通の言語をつくって、違う民族同士がその共通言語をつかい 意思の疎通をはかれることを期待したのである。
しかし、彼の思わくは各国の政治家や団体からうとまれた。 国家や組織の統一を乱す、スパイがされやすい等、コミュニケーションのための言語が恐れられ禁止されたのであった。 いまでも一部にある特定の言語の帝国主義(たとえば英語だけできれば世界で困らないなど)にとって、自分の信奉する言語の最大の敵となってしまうエスペラント語を迫害するため、エスペラント語は生活の裏づけのない死んだ言葉などというレッテルを貼ろうとして迫害したのだ。
危険な言語とは そういう迫害者の(エスペラント語に対する)スローガンだったのである。
この本はしかし、なぜか大学の図書館にも県立図書館にも蔵書としてあるのだが 一般の目にふれる開架図書の中にはなく、別室のところに保管されある。 蔵書検索でこの本を見つけて、係員に申し出れば、貸し出してもらえる。 古書としても手に入りにくい本である。ほかの新書と違い絶版となっている。
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