10月の全国オフは石川県金沢であります。 そこでの料理に、郷土料理として有名な治部煮(じぶに)が出るというので 紹介しましょう。
輪島塗の浅く平たい椀に、鳥肉料理を和風に盛り込んだもの。 鮴(ごり)とともに郷土の味覚を二分するものである。 じぶ煮の語源については諸説ある。 ・文禄の役で、豊臣秀吉の兵糧奉行として従軍した岡部治部右衛門が朝鮮から伝えた陣中料理という説 ・煮る音が、じぶじぶと音がするところからきたという説 ・寛永年間、キリシタン大名高山右近が加賀藩にお預けになったとき、隠れキリシタン信者の間で密かに試みたポルトガル料理が庶民の味として定着したという説 ・銭屋五兵衛に代表される豪商たちの密貿易が持ち込んだ生活圏の広さに根ざした料理だという説
どちらかというと(当時は)日本ばなれした料理である。 地元では、じぶと呼び、煮はつけない。加賀煮ともいう。
もともと渡鳥の通り道にあたる金沢地方では、鶫(つぐみ)のじぶ煮が一般の家庭料理だったが、鶫が禁鳥になってからは、四季を通じて合鴨や鶏を使っている。 加賀特有のすだれ麩、椎茸、豆腐、芹などを煮た後の煮汁へ、薄くそいだ肉に小麦粉をまぶして入れ、じぶじぶと音を立てて煮だったら火を消す。 しばらくそのままにしておき、どろりと柔らかくなったところで、山葵を添えてすすめる。
参考図書 草川俊:風土の味 富民協会
ちなみにこの本には富山県の料理として イカの鉄砲焼、ホタルイカ(刺身、釜揚げ)、越中バイ 岐阜県の料理では 品漬、朴葉(ほうば)味噌、五平餅 京都府では 酸茎(すぐき)漬、鯖の棒ずし、芋棒 福岡県では がめ煮、オキウト、あぶってかも(スズメダイの干塩) などが紹介されている。
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