おくむらあやお ふるさとの伝承料理〔4〕 コトコト 煮もの 混ぜ混ぜ あえもの 農山漁村文化協会発行
昔から、ふるさとの食卓にのぼったおかずは煮ものだった。 煮ものは、野菜や乾物、魚、肉と材料を選ばない調理法で なんでも煮ものにできる。 材料を用意して鍋に仕込めば、あまり手間もかからず、失敗も少ない。
大根をつかった煮もの 北関東の「しもつかれ」(すみつかり、すみつかれ、しみつかれ、しみづかり) 二月の初午(最初の午の日)につくり保存する。 必ず入るのは大根と節分の豆まきの残りの炒り大豆、正月の塩鮭の残りものの頭もよくつかう。 にんじん、油揚げ、酒粕を入れる家も多い。 大根やにんじんをがりがり粗くおろして汁ごと入れる。他の材料は細かく切る。 味つけは砂糖、しょうゆ、酢など。 大根の合わせ煮 大根を魚のあら(魚をおろした残りの頭や中骨、かまなどの部分)と煮る。 ぶりと大根のあら煮、鮭と大根のあら煮、たらと大根のあら煮 イカと大根のあら煮、沖縄の大根うぶさー(豚肉と大根を煮る)
合わせて煮る ごっちゃ煮は味のシンフォニー、それぞれの素材から出る味と香りが一体となっておいしさを増幅する。 奈良のごちゃ炊き、福岡のがめ煮、鹿児島の切いこん、富山や広島のいとこ煮 京都のだいこざい、新潟ののっぺ、高知のぐる煮 炒めて煮る 炒め煮は、油で炒めて味をアップする技 鳥取のおからの炒り、けんちゃん(切った大根を油で炒めて甘辛く煮たもの) 広島のなすのからうま、きんぴらごぼう、香川のこんにゃくのきんぴら
あえもの料理 ごま、くるみ、えごま、ピーナッツなどの芳ばし料を、すり鉢でたっぶりすってあえ衣にしたり、万能調味料のみそやしょうゆをベースにしたり、あえものの世界はどんどん広がる。 菜の花のごまあえ、青ささげのごまあえ、山菜のごまあえ たにしのみそあえ、なすびのみそあえ、うこぎの切りあえ 壬生菜のからしあえ、たけのこの木の芽あえ、わかめの山椒あえ れんこんの白あえ、こんにゃくの白あえ、きゅうりときくらげの白あえ
こんどの全国オフの金沢では、治部煮という煮料理を食べられるというが この「治部煮」と上に書いた「がめ煮」との違いはどうだろうか。 また、「筑前煮」というものがあるが、それらの共通点と違いはどうなのだろうか。
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