来年の韓国行きの準備のため 韓国に関する本を読んでいる。
この本は韓国の鉄道の全線乗車の記録である。 日本の鉄道の旅については伝説的な宮脇俊三の著書があるが この本は韓国の人情とか風景がそこはかとなくただよう良い本である。 もっとも、この本に書かれた列車の旅は1986年から1991年までなので 現在とはだいぶ変わっているだろう。 当時は南北対立の緊張した時代で、写真を撮影できる場所も限られていたが 現在の韓国はずいぶん自由になった。
旅行記というものは、それが書かれた当時の時代背景があって 現在はたいてい様子が変わっているので、そのまま残っているということは少ない。 書かれていた店がなくなっていたり、飛行場や地下鉄の状態が現在は はるかに発展していて、当時の不便さがどこにも残っていないということもある。
それでも、人情とか地域の伝統や文化などは、この本に書かれていたことが 今も変わらないことに気がつけば、さらに旅の楽しさが増すだろう。
ソウルの地下鉄一号線の中で、突然車内に大声が響き渡る。 新聞売りだった。新聞の名を大声で叫びながら通り過ぎていく。買う客も多い。 鐘路三街からソウル駅までの三駅の七分間に五回も新聞売りがあった。 一人が一種類の新聞だけを扱っているようだ。日本と同じく、スポーツ新聞もあった。
釜山の朝、ホテルを出て茶房(喫茶店)に入り 四人がけの席に座ってコーヒーとトーストを頼むと 若いウェイトレスらしい女性が三人もやってきて一緒に座り話しかけてくる。 適当に相手をして食べ終わって出ようとすると、多額のチップを要求された。 不愉快な気持ちになって店を出た著者は、大韓航空に行き帰りの航空券を買うと 日本で買う半額だった。 釜山の喫茶店の経験から、江陵(カンヌン)では一般の喫茶店を避けて バスターミナルの地下の喫茶店で、トーストとコーヒーを頼むと トーストは釜山と同じく水っぽくまずいし、コーヒーはインスタントだった。 両方で千ウォンだった。
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