[掲示板へもどる]
一括表示

[No.16266] 高峰秀子:わたしの渡世日記 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/13(Mon) 10:07
[関連記事

上巻と下巻の二冊になっている。
まだ全部読んではいないが
だいたいのところをまとめると以下のようになる。

高峰秀子は函館に生まれた。
4歳のとき義母にもらわれていって
以後東京で生活するので、彼女は東京人だと思っている。
北海道出身といわれて、ああそうかと思うがまったく北海道人だという自覚はない。

彼女の実母は彼女が4歳のときに亡くなった。
棺おけに座る姿勢で入れられ周りを綿のようなもので包まれ
首だけ出した姿が母の最期の姿だったという。

彼女は子供がほしいという父親の妹から、強い希望で
生まれる前から養子にいくことを約束されていたという。
彼女の上には男ばかり生まれていたので、今度も男だろう、だから養子に出すのもよかろうと両親も考えたらしい。

ところが生まれたのは、はじめての女の子だった。
それをみると両親は手放したくなくなった。女の子だから手元において育てたくなった。
父の妹は約束だからと何度も家に来るが、そのつど追い返されてしまう。
そして、母親が死んで、父もこのままでは育てるのは大変と思い
妹に娘を養女として渡したというのであった。

彼女自身は継子だということは自覚していたが、義母はなるべくそれにふれたがらなかった。
そして、幼い彼女を大事に育てた。幼い彼女も実の母親のようにあまえた。

彼女の義母は、大家族の中で、外に飛び出したくてチャンスを待っていた。
そこに活動弁士の男が現れた。冷静な判断なしで、彼女はこの男にとびついた。
活動弁士の男の影響で、彼女も女弁士になった。そこで、時代はかわり
無声映画の時代は終わった。トーキーの時代に弁士はいらなくなった。
男はほかに女を作り、高峰秀子の義母はさみしさのはけ口を継子に求めた。
高峰秀子というのは義母の芸名であった。義母は娘に自分のはたせぬ夢を託した。

幼い継子との生活の中で
義父は、映画会社が子役を募集していることを知り
継子を応募させることを思いついた。
多数の応募者の中から、彼女が選ばれて、そこから彼女の人生は大きく変わる。

以後、彼女は映画から離れられなくなる。
毎日撮影に明け暮れ、小学校も欠席がち、いまなら社会的にも法律的にも許されないことだが
幸せなのか不幸なのか、高峰秀子の奇妙な映画スター人生がくりひろげられる。

彼女の義父は、継子の収入が入ると、また外に女を作り
義母はとうとう彼女を連れて、義父のところから飛び出す。
結局、義父は捨てられた形となる。

美空ひばりの例をあげるまでもなく、母一人娘一人の芸能生活は特殊なもので
この関係から離れられない母親は、結局娘の幸せをうばうことになる例が多いのだが
高峰秀子の場合、しっかりものの娘とヒステリーの母親の対決があって
彼女は幸せな結婚をおくることができる。

彼女の北海道の家族は
やがて有名になった女優高峰秀子の収入を当てにして
彼女の周りに集まり、彼女のお荷物となる。

親戚も貧乏な人のところには寄りたがらない。貧しいと親戚も誰も寄ってこない。
ところが、こちらにお金があるとか有名だと、知らなかった親戚まで現れて近寄ってくる。アリが砂糖に集まってくるように。