著者は東京都職員、千代田区図書館勤務を経て都市史研究家。 日本実業出版社
エジプトのナイルとは川を意味する言葉である。 インダスもガンジスも、もともと川を意味する。 インダス川、ガンジス川というのは「カワの川」というようなものである。 ヨルダンはヘブライ語で「よく流れる川」を意味する。 ティグリスとは「急流の川」であり、ユーフラテスは「大きな川」を意味する。 タイのメナムも「川」、インドシナ半島のメコンも「川」を意味する。
アイヌ語のベツ(ペッ)は大きな流れを指し、「ナイ」は比較的小さな流れを指すことが多い。
日本の河川で一番長いのは信濃川367キロであり、次は利根川322キロだが 三位の石狩川268キロは明治当時は370キロあって日本一だった。 蛇行する石狩川を短縮工事(ショートカット)した結果である。
この本は目新しい知識が多いのだが、誤りも見られる。 青森・岩手には、「別」「ベ」の変形である「辺」「戸」も多い。 有名なのは岩手県の一戸からはじまり青森県の九戸まである。 これ間違い。 一戸、二戸、九戸は岩手県で、残りは青森県。 もともとは南部藩だったのを明治になって、下北半島からの南部領が青森県にくっつけられたのは、南部藩が賊軍になったからと言われている。
一戸から九戸までの地名がある理由として、中世に津軽氏から独立した南部氏が軍馬生産のためにつくった牧場の境「柵(へ)」を示すものだと言われる。 ここも全く逆。岩手県立図書館のこの本には、この本の編集部の担当者の名前と期日記載の書き込みまである。おそらく抗議の電話をかけたのであろう。 秀吉時代に、南部藩の内部抗争のごたごたに乗じて、津軽氏は独立し手回しよく秀吉の許可状をもらったから、後からの南部氏の抗議は届かなかった。そのときから津軽藩は誕生した。
この著者は「戸」(へ)とは、それぞれが川の流域ごとに区分けされているようなので アイヌが川ごとに区切ったテリトリーをそのまま和人が認めて、それぞれに番号をふったのが、九つの「戸(へ)」だと考えている。
豊間内という地名は青森県五戸町にあると書いている。(豊間根は岩手県山田町にある)
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