退職して、とまどったったことの一つに、 手元から「身分証明書と定期券」が消えたことがあります。
高校生の時だって「生徒証」みたいなものを持っていたのに。
万一ひき逃げされたとき、バッグのなかに「身分証明書と定期券」があれば 一応、身元が分かります。 退職すると、そういう自分を証明するものがなくなるんだ ということに気がつきました。
当時愛読?していた「スヌーピー」のなかに、こんなシーンがありました。
人間の子が集まって「君は、何になりたい?」「ボクは 弁護士」「私は 先生」 などと ワイワイガヤガヤやっている。 だれかが、スヌーピーに「君は何になりたい?」と聞きます。
スヌーピー、答えていわく。 「何にもなりたくない。だって、ボクは、すてべに『犬』やっているから」 そこで、誰かが 「でも『犬』やっているということは『人間』をやっているというのと同じだろう」 といいますと「どうして、人間どもは『人間やっていればそれで十分』なのに 欲張ってほかのものになりたがるのだろう」と。
退職して どこにも所属していない人間、何の職業にもついていない人間は 本来の姿に帰って『人間業』をやればいいーーーということでしょう。
でも「教師として」「政治家として」「母として」などの枠が外れて 「一人の人間」という役目だけが残るーーーこれは結構シンドイことですね。
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