原題は可愛そうな人々 ミュージカルや演劇で有名ですね。
家族のため、気がつけば(パン屋のガラスを壊して)パンに手を出していた わずかパン一個を盗んだという罪でとらわれた主人公。 家族のことが心配で脱獄を繰り返すうちに19年間もの監獄生活を送ることになってしまった。 世の中は、強い者が正義という世の中で、弱い人は誰も助けてくれない。弱い人も悪いことをしてでも生き延びるしかないのだ、そういう考えになった彼は悪人になって生き延びようと考える。
主人公が親切な司祭のもとから(確信犯として)盗んだ銀の食器だったが すぐ警察に捕まってしまう。 ところが司祭はそれは彼に上げたものだと弁明して、主人公は罪にとらわれなかった。 この事件をきっかけに、悪人から正義の人となり、可愛そうな人々を救うための一生をおくる主人公。
さて、話は最後になって、パリの下水道を、青年を背負って逃げた主人公 やっと外に出られると思ったそのとき、鉄格子が目の前にあって出られない。 しかも、そこに現れたのが彼の宿敵ジャヴェルだった。 絶体絶命、彼の運命もここまでだ、と思うとジャヴェルは不思議な行動をとる。 彼は鍵を開けて、主人公たちを逃がしてくれたのだ。
そのあと、ジャヴェルは自殺をする。 なぜ? 私は次のような理由を考えました。 ジャヴェルは生涯、ジャン・ヴァルジャンをつけまわしていたのに、魔がさしたのか、自分のしたこととはいえ、逃がしてしまった。大きな後悔をした。それゆえの自殺。 ジャヴェルはジャン・ヴァルジャンが悪人だと思ってずっと追跡を続けて主人公を迫害してきたが、ふりかえるとそれは大きな誤解であって、自分のしたことを反省した。反省しても反省しきれず自殺を選んだ。 ジャヴェルは、自分の行為が職業人として社会に貢献するものと思っての行為だったが、それは必ずしも正しくはなかった。でも、自分の職業倫理からすればやむをえなかった。考えてみると自分の人生もつらい人生だった。自分としてはしたことに悔いはない。だが、いろんなことを考えるとこんな矛盾の人生をこれからもおくることは無意味だという気になった。 など諸説をあげてみましたが、読者は自分で考えてみてください。
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