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[No.6740] 将来、蚊學者になりたい人に捧ぐ 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2014/09/10(Wed) 23:22
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ヒトスジシマカの跳梁跋扈が、あっしの激しい叱責にも関わらず、一向収まる気配を見せぬ。いかがなものかと思われるなど、のんびりしたことを云っていては、その内、その筋から「怪しからん、お前はヒコクミンだ!」などと云って怒鳴りつけられるかも知れぬ。(-.-)

 そこで、いつものマジメだけが取り柄の自分に立ち返って、再び町の専門蚊、いや、専紋家の椎名先生の門を叩くことにした。

 あーた、椎名先生と云ったって、ただの物書き、小説家ではないのですよ。この人タイヘンな蚊お宅なんです。何しろ、こんな騒ぎの起きるずっと昔、氏がまだ小学生のころ、アミカゴのなかで、カナブンなどと一緒に、蚊も飼っていたというのですから。

 で、次はカ対策だが、むかしは例の蚊取り線香のほかに、『蚊帳いらず』だの超音波利用の『ササレーヌ』、『マイッタ蚊』なんてのも、あったそうである。

 シーナの小説「蚊」★にもあったけれど、蚊というものは、滅多にくたばるもんじゃないそうです。彼はそれを「逃亡蚊」「蘇生蚊」「耐久タフネス蚊」などと呼んでいる。死んだふりではないけれど、一度叩いても、芝居の切られ役のように、あとで起き上がって平気で立ちションベンしたりタバコをふかしたりしてる、そんな感じです。つまり、相当しぶといヤツであり、死んでもすぐ息を吹き返す、手におえないヤツなのです。

 シーナは、今から20年も前、1994年すでに「蚊學ノ書」を世に問うています。書いたというより、編集したわけですが…。かれこそ、日本における、蚊學研究の草分けと云っていいでしょう。じつはこの文も、ほとんどが同書の受け売りなんです。日本では「気づかぬうちに、蚊に刺されたような気がする」などと平気で云っていますが、蚊の本場では、そんなことでは、マッタク相手にされません。

 その本場の一つ北極では、こんな具合です。C・ニコルによれば、かれも大量の蚊に刺され、病院で点滴治療をうけたそうですが、人間でも、一旦蚊の大群に襲われたら、その時もし裸だったら、30分であの世行きだそうです。

 この本には、蚊の付く苗字の人の、上位13位までがのっていた。また、この本のおかげで、蚊の付く地名が、北海道から九州まであることも、あっしにはよく分かった。

 蚊の名所は前掲の北極だけでなく、カナダ、アメリカ(さすが、カが付くだけあって(^^♪、)アマゾン、東南アジアと世界中にあるらしい。

 この本は、蚊の俳句、和歌なども集めてあり、蚊の落語、ことわざ、伝説、蚊の切手、蚊談会、つまり(蚊をめぐる座談会のこと)など、色々載っていて非常にベンキョーになるし、また、同書を通読すれば、一廉の蚊學者か、世界蚊學アカデミーの特別会員になれることは、まず間違いない。
                           おわり

 ★ この小説「蚊」も、同書に収録されている。