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[No.6787] 追蚊(☆どうか追加<ツイカ>と読んで下さい<(_ _)> 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2014/09/20(Sat) 15:18
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あっしが先日訪問したばかりの東京は上野公園でも、ヒトスジシマ蚊の出現が伝えられる今日このごろ、生来鈍感なあっしでさえ、これは容易ならざる事態に立ち至ったと、認識を新たにしました。だいたい、

「蚊學ノ書」に出て来る、奥本大三郎のように、鳥居清倍や大窪詩仏など浮世絵や漢詩の世界に遊び、また荷風の俳諧に思いを馳せたりするといった、氏の云う『蚊鳥風月』の世界にどっぷり浸かっている余裕など、これはあってはならないことなのである。いずれも蚊にまつわる文芸である。もっとも、これが、まつわるだからいいような紋で、反対に、蚊にまつわられるのでは、困るのである。(-.-)

 そこで、いま思い出したことがあるので、ここへチョット追蚊する。ウナギを絶滅危惧種へ追いやったあの、平賀源内の友人、蜀山人、大田南畝だが、かれが松平定信を揶揄したものに「蚊ほど五月蠅きものはない ぶんぶん(文武)と夜も眠れず」というのがある。

 これを見てあっしはまた、例の大発見。京大の森和俊教授の貰ったラスカー賞ほどではないが、自分では大した紋だと思っている。それは、

 蚊というのは、前に書いたが、ハエ目(糸角亜目)カ科の昆虫で、いわば、ハエの親戚。で、南畝の落首に戻ると、ここでも、ウルサイという字に『五月蠅い』が当てられている。蚊と蠅の結束。これはまさに、

 東西軌を一にしている、と云っていいのではないか。そこで蛇足だが、

 ウルサイというのは、五月蠅いだけではない。現代言語セミナーの調べでは、これが11もある。これを全部書くと大抵、写し間違えだの、なんだかが生じる恐れがあるので、ここでは、その内のいくつかを紹介するのにとどめる。やはり蠅を使うのが多いが、他に懊悩い、可煩い、煩瑣い、これらは何となく分かる気もするが、騒さい、紛さい、煩冗い、などは説明がないと読めないであろう。

 ちなみに、こうした国語破壊者の名をあげると、漱石、鏡花、風葉、草平、中村真一郎と云った文豪やそれに類する人たちである。(-.-)

 世に漱石ファンや、鏡花ファンも多いことと思うが、読者の皆さんにお願いがある。それは、気の弱いあっしに対し、それマジイ?おいおい、それマジ蚊よー?などと詰問しないで欲しいのだ。

                              (おわり)