活動ホームに行ったが、Bグループに入った。そこにはI子さんがいる。以前は 「一緒に帰ろう、帰れる?」と朝から顔を見るたびに言っていたのだが、バスの 中で会うおばさんとのこともありで最近はバスに一緒に乗らないようにしている。
バス停まで送る形にはなるが。そんなことで彼女も気にしているのか、しつっこ く言わない。ボランティアの男性には「A子さん一緒に帰ってくれるかな」とよ く言っているらしい。
今日はBグループに入ったことで顔があう。 「今日はどこへ行くの、一緒に帰って欲しいのよ。一緒に帰ってお願い」が何回 かあった。 「夜は会議、バス停までならいいわ」と言った。
バス停で話し合っていると、男子もやって来て挨拶をきちんとしてくれた。 「Sさんが乗って来たのよ。いつ会えるって言っているわ」などなど言うので、 バスに乗ることにした。ところが案の定おばさんの隣りに座る。そうなると私な のことなど知らん顔である。 私は後ろほうの席に座った。
次のバス停で乗ってきたSさんは、通路を隔てたところに座って頭を下げた。 そして手を出す、 「飴」「うん」となり、ザックから飴を取りだし、2つあげた。前の席に座って いた男子にもあげた。にこにことうれしそうにしながら2つを袋から出して口に 入れると、空き袋を私に寄こす。 男子の方を見ながら、手を出し飴を受け取ると、開けてあげていた。その袋も私 に「お願い」というふうな顔をしながら渡す。なにもかも心得ているところが愛 らしい。
しばらくすると手を出し、 「ガム?」と私の顔を覗きこむ。 「ガム、そう約束したわね」と私はザックの中を調べた。今日は違うザックだっ たので移さなかったらしくなかった。 「ごめんなさい。約束したのに、違うリュックサック持ってきたから入っていな いわ。今度ね」と言うと、「わかった」と言うふうににこやかに頷いてくれ、 「明日来る」になった。 「明日は来れないの。月曜日」と言ってしまってから、月曜にはまた乗らなけれ ばならないかと思ってしまい憂鬱になったのは確かである。
このガムの話しは14日のことだった。I子さんが一緒に帰ってと言ったときに、 お愛想のようにガムを出してくれたものを噛んでいたのだ。それを見て、飴をほ うばったあと、私の動く口を見てガムとわかったのか、手を出したのだ。 「これっ、さっきI子さんにもらったの。今日は持ってないから今度ね」と約束 したのだった。 「うん」とうれしそうな彼女、それを忘れないでいて、今日「ガム」と手を出し たのだろう。 「明日は来るの。明日雨ー」と彼女。 「明日は雨なのね。来れないのよ」で終わり、降りる停留所に着いた。
Sさんんも、男子もていねいに頭を下げて、「さよなら」してくれたのに、I子 さんにはそれがない。同じような障害を持っているのにと、不思議な思いがする こともある。
月曜日には、ガムを忘れずに持って行かなければと思っている。
2015.01.22
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