横浜能楽堂で「伝統芸能の今・2015年」の公演があった。 猿之助が「葵上」「鉄輪」を舞うのをネットで知り買った。 この公演は2009年から続いており「世界の子供にワクチンを」というチャリティー企画。
「組曲百花」 藤原道山(尺八) 高妻浩光(津軽三味線) 亀井広忠(鼓) 田中傅次郎(太鼓) 村治泰一(ギター) そして、坂口貴信(謡) 錚々たるメンバー出演でびっくりした。 やはり一流のプロは違う・・・素晴らしかったぁ〜! 謡は「鉄輪」の一部を謡った。 ≪いでいで恨みをなさんと、しもと振り上げうわなりの 髪を手にから巻いて 打つや宇津の山の夢幻と わかざる浮世に 因果はめぐり合いたり・・・≫ 威厳のある唄声はまだ耳に残っている。
「葵上」 猿之助は日本舞踊は上手だ。 先月歌舞伎座で「男の花道」を観に行ったが、「八百屋お七」を人形振りで踊った。 身のしなやかさ、手振りの美しさ、観客を魅了する。 しかし「葵上」は私の師匠の上手さには適わなかった。 こんな事言ってごめんなさい。
「鉄輪」 この舞を観たいと思っていたが、猿之助の朗読と舞だった。 少しがっかりしたが、目を瞑って朗読を聴いていると場面が浮き出て怖ささえ覚えた。 能を柔らかくしたのが地唄舞の「鉄輪」だが、結構体力を使う舞だ。
自分を捨てて新しく妻を迎えた夫に恨みを果たしたいという女の嫉妬。 丑の刻に草深き道を急ぎ「貴船(キフネ)神社」に向う女の姿。 鬼になって無念を果たしたい! 手に人型・火を灯した鉄輪を頭に頂き貴船神社に向う。 しかし夫が頼った陰陽師が神々を呼び出し祈祷し、鬼になった女は適わず。 一先ずは引き下がるが時を待って復讐を誓う。 三年前に友人達と貴船川床に行ってきた。 その時に貴船神社にお参りしたとき、傍らに小さな能舞台があった。 「鉄輪」と祭ってあった。 男と女の絡みは今も昔も同じだが、今はすぐに殺してしまうが昔は怨念で殺す。 怨念は恨みが籠って怖い・・・
メロウ倶楽部の全国オフは今年は九州。 別府温泉近くに鉄輪温泉があるのを知った。 「かなわ」とは言わずに「かんなわ」と言うのだった。 来年5月、国立劇場で私は「鉄輪」を舞う。 女の怨念・・・何もないけど舞込むしかないわ〜 何とかなるだろう〜
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