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[No.7381] お座りになりませんか 投稿者:あや  投稿日:2015/11/16(Mon) 22:27
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9時ころのことだった、ボランティアへ行くため電車に乗っていたときのこと、
2つ目の駅で、何人かが降りた。その時席が空いたようで、前に立っていた女性が、
私のほうへ向き、
「お座りになりませんか」と言ってくれた。
「次で降りますので、どうぞ」と言うと座られた。年配の方だったが、私よりは
若いように感じた。私の白い髪を見たからだろうなんても思ってしまった。

次の駅で降りたが、体をずらし彼女の前に行き、
「ご親切ありがとうございました」と申し上げたら、それはそれはうれしそうに、
「どういたしまして」のようなことを言ってくださった。
とても気持ちよかった。

私は電車の中でも、バスの中でも、ホームでも立っていることが好きというか多い。
バス停などでベンチが空いていると、少し離れたところに行き、そのベンチがふさ
がり、更に立つ人が何人かになるまで近づかない。
それというのは、ベンチのすぐそばに立つと、その最後に座った人が若いと席を
立って替わってくれることがあるからだ。

なんでこんな人間なんだろうと思う。椅子がないか探す人が多いというのに、その
うち私も、空いた席を探すようになるかとも思ってはいる。

いい気持ちで、ボランティアへ向かうことができた。

帰りのことだった。バス停に行くと乗るバスが、発車寸前のように見えたので、
走って飛び乗った。降り口まで歩いて立ち止まった。すぐそばの敬老席に杖を持っ
たやさしそうなおじいさまが座っていらした。
「座りませんか、2つ先で降りるから」と言ってくださった。杖を持たれた方な
のにとなんというやさしい方と思った。
「私もその次で降りますから、大丈夫です、お座りになっていてください」と
申し上げた。

やさしい表情で、しみじみと私の顔を降りるまで見ていてくださった。朝の電車
の中の席を譲ろうとしてくださった女性を思い出していた。

一つ目の停留所で、反対側の席に座っていた人が降りた。私が立っていたすぐそば
だった。周りには誰も座る人がいない。私はその男性の手前、座らざるを得ないと
思い、座りながら、
「ご親切ありがとうございました」と言った。声までは出さなかったが、やさしい
笑顔を向けてくださった。寡黙の方なのだろう。

やがて次の停留所へバスが止まると降りて行かれた。頭を下げてにこやかにだった。
杖をつかれてやっとの思いという具合に降りて行かれる姿を見て、このような方が
席を譲ろうとしてくれる気持ちを持っていらしたことに感動を覚えた。

朝と夕方に、このようなうれしいことが重なって起きたことに感謝した。