画像サイズ: 183×262 (13kB) | アラバマ物語 KANCHAN
映画でも有名になった「アラバマ物語(To kill a mocking bird)」の作家ハーパー・リー女史が19日、89歳で亡くなった。
当該小説は、白人女性への暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当する弁護士の苦難を、娘の目から描いたヒューマンストーリーである。
小説は1960年に発表され、世界的ベストセラーになり、1962年にハリウッドで映画化された。
実は1955年にアラバマ州モンゴメリーで、バスの座席を巡って、黒人女性と白人の男達との間でトラブルが発生した。事件は、マーティン・ルーサー・キング牧師らの運動により、連邦最高裁に持ち込まれ、黒人側が勝訴した。
この小説はそんな雰囲気の中で読まれ、映画も大ヒットした。主人公の弁護士を演じたグレゴリー・ペックはアカデミー主演男優賞を獲得した。
原題は「ものまね鳥を殺すこと」であり、劇中に起きる殺人事件を示唆しているが、邦訳は黒人差別の強いアラバマ州での出来事を扱っていることから「アラバマ物語」と付けられたものと思う。
黒人差別問題あるいは公民権問題は、1963年キング牧師が主導して行ったワシントン大行進で大きなうねりとなった。キング師がリンカーン記念堂の前で行った演説「I Have a Dream」は歴史的名演説とされている。しかし、キング師は1968年に暗殺された。今も、アメリカ社会の現実は、オバマ大統領が出現したとはいえ、暗部では根強い人種差別意識は消え去っていない。
アラバマ物語の作者ハーパー・リー女史は、2015年に、以前に書いたといわれる「Go Set a Watchman」が出版されているが、その他目立った創作活動をして来なかった。2007年に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領から大統領自由憲章を送られたが、このたび亡くなったのは、アラバマ州モンロービルの介護施設であったという。
ところで、映画でグレゴリー・ペックが演じた、正義に燃える強い男は、アメリカ人の理想像であった。私達のアレックス英会話教室では、もっぱら、この話が、ライバルであるゲーリー・クーパーの話題とともに盛り上がった。
○ペック(1916-2003)の代表作 「小鹿物語(1946)」「白昼の決闘(1946)」「頭上の敵機(1949)」「ローマの休日(1953)」「大いなる西部(1958)」「アラバマ物語(1962)」
○クーパー(1901-1961)の代表作 「西部の男(1940)」「ヨーク軍曹(1941)」「誰がために鐘は鳴る(1943)」「征服されざる人々(1947)」「真昼の決闘(1952)」「昼下がりの情事(1957)」
資料 My Dream So I say to you, my friends, that even though we must face the difficulties of today and tomorrow, I still have a dream. It is a dream deeply rooted in the American dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of its creed—we hold these truth to be self-evident, that all men are created equal…
I have a dream my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by the color of their skin but by the content of their character. I have a dream today!
友よ、我々は今日も明日も困難に直面するに違いないが、それでも私には夢があります。その夢とは、いつの日かこの国が立ち上がり、その信念の真の意味を実現することです。――我々は次の真理を自明のことと考える。人間はみな平等に創られたのだ。
私には夢があります。いつの日か私の幼い四人の子供たちが、肌の色ではなく人格の良し悪しで判断される国に住めるようになるという夢です。今、わたしには夢があるのです。 |