最初に運不運のはなし。あっしも生来、幸運の女神の前髪を掴むのがじつに下手くそで、年末スーパーの抽選会なぞで、なにかが、当たったためしがない。それが、運のいい人になると、フシギなことに、何回でも立て続けに当たるのだ。競馬などでも、賞金の当たったのは長い人生でタダの一回、それも何千円とかいうのではなく、電車賃にも足らない、いわゆる雀の涙と云うヤツ。★
「椋鳥」でも、運のいい人、運に見放された人の両方が登場する。まず運の悪い方。
これはワーグナーとも親交のあった、マンデスというひとは、誤って列車から転落、頭蓋骨折、その他で即死した。が、
運のいい方の代表選手、ルードは、寝ぼけて、同じように時速100キロで疾走中の列車から転落したのにもかかわらず、落ちたまま眠り続けていた。ところが、運よく反対方向から来た別の列車がこれを発見、ほとんど無傷で救助されたよし。
つぎは、ノストラダムスのお蔭で、日本でも一時、大ブームになった予言の話。この開祖、鼻祖はバイブルに出て来る予言者だろう。これは名前の記録されていない人まで入れれば、大変な数に上ると思う。
つぎに、予言の内容にうつる。アポカリプス。新聞を見ていると、だれそれが予言しているので、気の毒だが、地球はこの先、いついつに破滅する。心の準備をして置くように。こんなセリフを一体何度聞かされたことか。☆また、
椋鳥自体は、予言は職掌外と見えて、自らやることはないようだが、鴎外の「椋鳥」にはちゃんと出ている。
アポカリプス、これもはキリスト教社会では、すでに普通名詞化され、大惨事が起こったりすると、新聞の見出しなどにも、ちょくちょく登場する。
ここでグルーさんに敬意を表して、ふたたびペルシャ語へ戻る。といったって、トーシロの寝言に過ぎないけれど。(-_-;)
ペルシャ語はフランス語に似ているというはなしがあって、ほほうと思って読み進むと、一時フランス語の方が英語より幅を利かせていた時代の話で、ロシアでも、チョットいい家になると、競ってフランス語の家庭教師を雇い、子ども達に習わせたようである。これは、あっしも、大昔読んだロシアの小説で検証済みである。
ところで、チェスなどで王手の時、チェックメイトという。このことばも、王は敗北したと云う意味のペルシャ語、シャー・マットが語源らしい。これは
現在でも、ドイツ語、ロシア語、北欧語で、ほとんどそのまま使われているようだ。 (つづく)
★あっしは生憎、幸運には縁が薄いが、クルーズ船では「フォルトゥーナ号」に乗船することが出来た。ということは、やはり、ちょっとした幸運に巡り合ったというべきか。(^O^)
☆鴎外のでは、その日が1909年9月15日の午前10時20分だそうで、もし実現すれば、わたしの「椋鳥」もそこで息を引き取るわけだし、掲載誌の「スバル」もついに廃刊ということになると、記している。
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