のっけから不謹慎かも知れないが、取っときの、だじゃれをひとつ。その、『台無し』ってのは、いかがでやんしょう。
もちろん鴎外先生の受け売りだが、パリのパンテオン広場に悲劇作者として有名なコルネイユの像を建てることになった。ところが請け負った予定の日になっても、その台が間に合わず、取りあえず、像をありあわせの木の台に載せて3年ほど前、形ばかりの序幕式をやった。式から3年たって、これから、その台を作るという。時間のかかる銅像のほうがさきに出来ているのに、それより簡単そうな台が、出来ていないとは、ほんとうにお粗末。ちょっと、常識では考えられぬ珍事だ。
泉下のコルネイユも、さぞかし腹を立てていることだろう。おふらんす版「台無し」の一席、お粗末でした。
つぎは、落語の八っつぁん、熊さんなら分かるが、やんごとなきご身分の方々の質屋がよい、貧乏ばなしをご紹介。
質屋なんぞは下々の話と思ったら、セルビアのミランという名の王様が質屋通いをしておった。ま、あっしらに比べたら、質草など、かなり上等のものが相当数あったのだろうから、それほど気の毒がることもないが…。
スペインの王妃イサベルも、大の質屋ファンであったらしく、お金に困るとダイヤを持って質屋へお出かけ。それでも間に合わないときは、ベラスケスの傑作を質に入れる。イギリスの王、エドワードも、王子のころには、ロスチャイルドなぞに借金をしたらしい。
金欠病は伝染性なのか、どこでも同じらしく、ドイツの王ヴィルヘルム2世も例外ではなかった。やはり、王子の頃に、某伯爵から金を借りたようだ。
以上、すっぱ抜いたのはイタリアの、ドメニカ・デル・コリエ―レ紙。この親会社、コリエ―レ・デッラ・セーラ紙は、現在でも盛業中である。ところで、
鴎外の使う言葉には、まるで宇宙人の言葉のようなのが頻出して、その都度往生する。しっかし、以前から分からず、困っていた単語がきょう、ひとつ、やっと分かった。たぶん、正解と思う。それは響尾蛇というので、あっしはこれをガラガラ蛇と睨んだ。もっとも、相手は蛇なので、かえってこちらが、睨まれる掛りやも知れぬ。(-_-;)
(つづく)
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