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[No.7541] 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/16(Wed) 22:21
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お疲れ様でした。きょうで終わりです。

最終回は、なるべく科学に関したことで締め括りましょう。

 鴎外もダ・ヴィンチにはとくべつ興味を持ったらしく、20行以上を費やしている。じつは先日、江戸東京博物館で、ダ・ヴィンチの展覧会があったので、両国へ行ったのだが、油彩画については、「糸巻きの聖母」のほか、めぼしいものはなく失望した。

 だが、理系の人なら、むしろ喜んだかもしれぬ。というのは、万能の天才ダ・ヴィンチは飛行機も作りたかったので、鳥の飛翔についてはふかく研究した。その研究ノートが絵巻物のように、博物館のかなりのスペースを占領していたのだ。

 鴎外はほかにも、キュリー夫人の発見したポロニウムについても、言及しているが、鴎外の記事はかなりの旧聞に属する。また、夫妻と書くべきを、キュリー夫人が、としている。

 また、ベークライト、防弾ガラス、ヴェズーヴィオ火山の噴火、自動交換機の発明、着色活動写真、人工宝石(当時成功したのは鋼玉類★と、ルビーの二類のみとしている)、ツェッペリンの飛行船については、3回もでてくる。あっしの、とくに

 面白いと思ったのは、火星の運河説の否定記事と、ライト兄弟の飛行機の記事、蓄音機の意外な用途である。

 新しい写真が発表されて、「火星に溝渠(運河のことならん)があるという虚説が破られた」とある。1909年6月の記事では、かのライト兄弟が、自作の飛行機(でなく飛行器)80機を受注したとある。蓄音機は、うまい用途を思いつかなかったのか、いわば擬音の道具として使われた。チョット勿体ないはなしだが。モスクワの芝居小屋では、犬の声、子供の泣き声、ドイツ皇帝のご前興行では、猟犬の声、ジュリアス・シーザーの芝居では、大勢の人々のどよめきを再現して見せた、と。当時は

 盗難事件も多かったらしく、ミュンヘンの美術館では、防犯用の電気装置まで考案された。あっしの傑作だと思うのは、イタリアの発明で、金庫に手を触れると、自動的に犯人の写真が撮れるというすぐれ紋。これは早速、アメリカの銀行から注文が来たと云う。

 ま、こんなところで、失礼をさせて頂きます。長々のご愛毒を深謝いたします。
<(_ _)><(_ _)>                      ー完ー  

 ★この人工宝石の説明については、問題があるように思う。
 


[No.7542] Re: 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:Pan  投稿日:2016/03/16(Wed) 23:21
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唐辛子紋次郎さん、こんばんは。

> お疲れ様でした。きょうで終わりです。
>
> 最終回は、なるべく科学に関したことで締め括りましょう。


> だが、理系の人なら、むしろ喜んだかもしれぬ。というのは、万能の天才ダ・ヴィンチは飛行機も作りたかったので、鳥の飛翔についてはふかく研究した。その研究ノートが絵巻物のように、博物館のかなりのスペースを占領していたのだ。

 今の全日空のマークはダ・ヴィンチのヘリコプターですね。

 あの絵の通りでは飛ぶはずが無いとのイチャ紋もあるようですが、あの時代に素晴らしい
発想だと思います。

> また、ベークライト、防弾ガラス、ヴェズーヴィオ火山の噴火、自動交換機の発明、着色活動写真、人工宝石(当時成功したのは鋼玉類★と、ルビーの二類のみとしている)、ツェッペリンの飛行船については、3回もでてくる。あっしの、とくに
>
> 面白いと思ったのは、火星の運河説の否定記事と、ライト兄弟の飛行機の記事、蓄音機の意外な用途である。
>
> 新しい写真が発表されて、「火星に溝渠(運河のことならん)があるという虚説が破られた」とある。1909年6月の記事では、かのライト兄弟が、自作の飛行機(でなく飛行器)80機を受注したとある。蓄音機は、うまい用途を思いつかなかったのか、いわば擬音の道具として使われた。チョット勿体ないはなしだが。モスクワの芝居小屋では、犬の声、子供の泣き声、ドイツ皇帝のご前興行では、猟犬の声、ジュリアス・シーザーの芝居では、大勢の人々のどよめきを再現して見せた、と。当時は
>
> 盗難事件も多かったらしく、ミュンヘンの美術館では、防犯用の電気装置まで考案された。あっしの傑作だと思うのは、イタリアの発明で、金庫に手を触れると、自動的に犯人の写真が撮れるというすぐれ紋。これは早速、アメリカの銀行から注文が来たと云う。
>
> ま、こんなところで、失礼をさせて頂きます。長々のご愛毒を深謝いたします。
><(_ _)><(_ _)>                      ー完ー  

 面白い話しを堪能させて頂きました。 更に機会があったら続編もお願いします。

   ***** Pan *****


[No.7545] Re: 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/17(Thu) 23:37
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  Pan さん、ご愛読を感謝します。(^_-)-☆

>  今の全日空のマークはダ・ヴィンチのヘリコプターですね。

旧マーク(1988年まで)としてあるものが多いですね。復刻版もあるのかも。また、全日空社の役員はいまでも、このマークのバッジを、身に付けているとも書いてありました

>  あの絵の通りでは飛ぶはずが無いとのイチャ紋もあるようですが、あの時代に素晴らしい
> 発想だと思います。

 鳥の研究と云えば、あのコンコルドは、トリに酷似しているのだとか。ミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ科学博物館には、パラシュートのスケッチがあるようですが、これなど今のと大差ありませんよ。ヘリコプタは、あっしも感心しませんが、空飛ぶ船は、単葉で、今のとそっくりです。今、講談社の、世界の博物館シリーズの15をひろげて、眺めているところです。

 また続編を書くばやいには、よろしくおねがいします。<(_ _)>


[No.7543] 温故知新、ありがとうございました 投稿者:GRUE  投稿日:2016/03/17(Thu) 10:29
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紋次郎さん、みなさん、おはようございます。

2月12日から1ヶ月余り楽しませていただきありがとうございました。
読む方も大変でしたが、書かれた方はもっと大変だったことと推察致し
ます。

約100年前、明治末期から大正初期という微妙な時期の椋鳥通信でした。

鴎外が、欧州から新聞、雑誌、通信社情報を手に入れて、本人の1880年代
のドイツ留学経験を生かして、日本人向けに焼き直して発信したものですね。
確かに現在のツィッター通信の草分けかもしれませんね。斬新なアイデアかと
思います。

で、これ、歴史的な価値も高いと思ます。丁度第一次世界大戦勃発の直前の
緊張した時期の情報発信なのですね。

大正期は、欧米から導入した多くの文明が一斉に日本人にオープンにされて
大正ロマンの花が開きます。清新な雰囲気が漂っていた時期だと思います。
まさにピッたりの椋鳥通信だったでしょうね。

100年の間の文明の比較をしてみることは、日本という国がどう発展して
きたか、それから教訓を得て、現在の苦悩する日本の将来への手がかりなど
が見つかることに繋がるかもしれませんね。温故知新です。

ありがとうございました。今後もよろしく。


[No.7544] Re: 温故知新、ありがとうございました 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/17(Thu) 16:50
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GRUEさん、みなさん、こんにちは。

>2月12日から1ヶ月余り楽しませていただきありがとうございました。
読む方も大変でしたが、書かれた方はもっと大変だったことと推察致し
ます。

 1か月余り?ひえーっ、そんなにもなりますか。では、読まされる方も大変でしたでしょうね。お察しいたしますです。

>約100年前、明治末期から大正初期という微妙な時期の椋鳥通信でした。

> 鴎外が、欧州から新聞、雑誌、通信社情報を手に入れて、本人の1880年代
のドイツ留学経験を生かして、日本人向けに焼き直して発信したものですね。
確かに現在のツィッター通信の草分けかもしれませんね。斬新なアイデアかと
思います。

 鴎外といえば、すぐ連想するのは、大抵の方は、小説の「舞姫」か、そのモデル紋題で、「舞姫」に始まり「舞姫」に終わるというのがおおよそのようです。そこへいくと。この「通信」は、小説でないので、却って、新鮮味が感じられます。

> で、これ、歴史的な価値も高いと思ます。丁度第一次世界大戦勃発の直前の
緊張した時期の情報発信なのですね。

> 大正期は、欧米から導入した多くの文明が一斉に日本人にオープンにされて
大正ロマンの花が開きます。清新な雰囲気が漂っていた時期だと思います。
まさにピッたりの椋鳥通信だったでしょうね。

 脱亜入欧ではありませんが、目線の先が欧(特に西欧)米に向いている人が多い中で、鴎外の目は北欧にも、中欧にも、ロシアにも、アフリカにも、均等に注がれています。特に目立つのは、墺匈ということばで、これは当時、オーストリアが強大な国で、オーストリア=ハンガリー二重帝国と称していたことを示します。この墺匈ということばについて、あっしの思うこと。

 だいたい、何かをみるとき、あっしらは、無意識の内、西欧人の目線を追っていることが多いようです。モーツァルトが馬車でプラーグへやって来た、といった具合に。ところが、東欧人の、サラエヴォ事件への反応を読むと、ふ〜ん、そういう見方もあるのか、となります。「兵士シュヴェイクの冒険」☆を読んでみてください。この本の第1巻は、なにしろ「フェルジナンドが殺されたのですって」で始まるんですから。ちょっと脳みその足りないことになっている、善良な兵士シュヴェイクは、大公殿下の体がまるで蜂の巣と聞いて「ここだけの話だが、」と前置きして「ふとった大公殿下の方がやせた大公殿下より、弾丸の当たる確率が多いわけだがね、」など、のんきなことを云っています。また、ぼくならブローニングを買う、とも。なぜかといえば、ブローニングなら「二分間に大公殿下を二十人も射ち殺すことができる」からだそうで。もっとも、これは鬼のように恐ろしい国家警察の私服、ブレトシュナイデルの、いないところでですが。

 こっち側からみれば、ふんふん、こう見えるのか。ドイツ留学生だった鴎外には、ゼッタイに、そう見えるわけは、ないでしょうが。これもまた、一つの見え方といえます。

 また「椋鳥」は、俗界のことばかりでなく、法皇や枢機卿の消息にも目を配っています。

> 100年の間の文明の比較をしてみることは、日本という国がどう発展して
きたか、それから教訓を得て、現在の苦悩する日本の将来への手がかりなど
が見つかることに繋がるかもしれませんね。温故知新です。

> ありがとうございました。今後もよろしく。

 いえいえ、こちらこそ。いつも、あたたかいコメントを有難うございます。

  ☆ 岩波文庫ハシェク作「兵士シュヴェイクの冒険」(一)