障害者活動ホームへ行き、午前中はA君とタオルたたみをやった。たたむ手つきを 見ていると職人顔負けのようにきれいで、早い。午後はK子、I子、Y君と、スイ ーツデコに参加した。教えてくださる先生がやってきて、小さなかごの中にクッシ ョンを貼り付け、その上にクマさんのぬいぐるみや、プラの花、他いろいろ止める のだ。なんといったか忘れたが、絞り出すようにして使う接着剤はすばらしかった。
その帰りのこと、わが町の駅について、止まったバスの中を見たら、男子がひっく り返っていて、運転手がペーパータオルを持ってうろうろ見ると床の上に血がとこ ろどころこびりついている感じだった。 そばで男性の頭から流れ出る血を拭いていたかなり年配の女性、母親かと思ってい たら違った、あとでわかったが介護士かヘルパーと思う。
運転手が「救急車を呼びましょう」と言っても女性は聞くものでなかった。
なんとかバスから降りた男性、そこは歩道で、女性は反対側に寝るように指示して いた。 血は止まらず、運転手の差し出すタオルをちぎって拭く、私は背中のザックから急 救セットを出して、濡れテッシュを渡そうとしても、「あります。いりません」な ど言う。
「交番がありますよ。お巡りさんを呼びましょう」と言ってもだめだった。 運転手が「交番の脇に連れて行ったらいいのでは」と指さした。私も最初から考え ていたところだった。 駅へ向かう人が多く通る道、大暴れするような男性だったが、よく説明すれば理解 できる人と思った。障害を持つ人だからこうしても構わないとは思いたくなかった。 なるべく人目につかないところで、手当てしてあげたかったと思う。
事務所へ電話すると言う女性、私は「お電話をなさってください。その間見てさし あげます。私も今ホームからの帰りです」と言っても、「いいです」だった。
運転手だってバスの中でこのようなことがあったので困っただろう。そのあたりも 気の毒に思った。運転士と顔を見合わせてしまった。 「もうしかたありません。これで終わりにしましょう」と言うと、うなずきバスを 移動させた。
なんともやりきれない気持ちで家路についた。
|