画像サイズ: 276×640 (91kB) | 6月24日私は上野の国立博物館へ日本と韓国のよく似た二体の仏像展を見に行った。スマホを片手に、イギリスの国民投票の結果を気にしながらである。
仏像の名は菩薩半跏像、微笑みを浮かべておられる。実は私はこの御仏には何度か対面している。日本の仏は、奈良の法隆寺に隣接した中宮寺のご本尊であり、私はその美しいお姿に魅かれて久しい。韓国の御仏は、ソウルの国立中央博物館に安置されている。中央博物館はソウルのヨンサン(龍山)というところにあり、私はそこから見たナムサン(南山)が印象的であった。
韓国の方が年代が古い。6世紀三国時代(百済・新羅・高句麗)のものであり、仏教の日本伝来以前のものと思われる。金銅製であり、かの地の仏像制作技術の進んでいたことをうかがい知ることができる。日本の御仏は、それから約100年後7世紀飛鳥時代と推定されている。こちらは木造であるが、それだけに柔らかさあたたかさを感じる。
この御仏(弥勒菩薩)は釈迦の入滅後56億七千万年後に現れ、人類を救うと考えられている。お姿は、人類救済策を思案されている様子である。
私は仏教の壮大さに感心する。菩薩半跏像は、インド、中国から朝鮮半島を経て日本にまで伝わっている。南回りのミヤンマー、タイ、インドネシア、カンボジア等の仏教遺跡にも圧倒される。
ところで今我々は、地球規模の騒乱に悩み、欧州でも、アジアでも人々の心は収まらない。トルコのイスタンブールでは、またまた死傷者300名近い自爆テロ事件が起きた。御仏よ56億年と言わずにはやくご降臨いただけないものか。
上野公園は梅雨の合間で、噴水のところには赤い帽子、ピンクの帽子におそろいの上っ張りを着た幼稚園の子供たちが、列を組んで散歩していた。遠くから見ると、池の周りの花々と見分けがつかないようなかわいらしい風景である。私がスマホのカメラを向けると、保育士さんがダメダメと慌てて腕でバツ印をした。ここ子たちに幸いあれ!
上野公園はいい。野口英世の像や、ジェンナーの像がある。人類愛に心をいたすべきである。
そうそう、西洋博物館には、ロダンの「考える人」が座っている。彼は何を考えているのか。対面には「地獄の門」が展示され、ダンテの神曲から取られた阿鼻叫喚の地獄絵は、現在の世界そのものだ。頂上にも「考える人」がいる。
(2016.6.30) |