ごぞんじアガサ・クリスティの推理小説
アガサ・クリスティは最初に結婚した夫に裏切られて 失意のうちにオリエント急行に乗りバグダッドへと旅立つ。
この旅行で、生涯の伴侶となった考古学者マローワンと出会い そして、この作品ができた。 旅をすると良いことがある。
ということになっているが 残念ながら期待が裏切られた作品。
殺人犯人の動機がよくわからない。 トリックはなるほど合理的だったが。
もっとも、江戸川乱歩や横溝正史の場合、トリックに重点を置き 犯人の動機とか社会性の希薄を松本清張などが指摘することを考えると トリックはトリックで大事、その上で犯人の動機が理解できる人間描写とか社会性を描くのは大切だが そんなに百点満点の作品は少ない。
松本清張はトリックよりも社会性重視なので、推理小説の面白さから少し外れた印象なのです。 私にとっては。
トリックをきちんとおさえた、このクリスティの推理小説はレベルは高い。 ということで、トリックをきちんとおさえている山村美紗の推理小説も同様に評価されるでしょう。
再婚して幸せになったクリスティ あの林芙美子も最初の夫は暴力をふるい(菊田一夫『放浪記』)、再婚した相手は画家で彼女の作家活動を支え続けてくれたから、林芙美子は夫に感謝しつつ亡くなったのでした。
いわさきちひろも再婚なのだが、二度目の夫が彼女のファンであって最大の支援者だったから あんなに作品が描けて、「ちひろ美術館」が二つもできているのです。
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