読み方や意味のわからない漢字を調べるには、漢和辞典がある。 ところが、漢和辞典をうまく使うには、部首の知識が必要なのだ。
阿辻哲次:部首のはなし2 中公新書1831
A はこがまえ(カタカナのコの字の鏡文字なのだが、この文字フォントはない) 区 匿 匹 B はこがまえ(上のAとはまったく別の部首なのに、まとめられてしまった) 匠 C はこがまえ(新しく、はこがまえに加えられた) 医(ともとの字は醫 だから部首は「酉」(ひよみのとり)だった)
当用漢字のせいで、由緒ある漢字の歴史は失われた。 区 匿 匹 匠 医 もともとは違う部首なのに、同じ仲間に入れられてしまった。
行 ぎょうがまえ 行 術 街 衝 衛 衡
中学入試の国語の問題 「街」の部首をたずねる問題 「ぎょうにんべん」と答えると出題者の意図にまんまとはまることになる。 正解は「行(ぎょうがまえ)」
「ぎょうにんべん」は「行」の左半分で、その呼び名も「行」という漢字に使われているからなのだが 「行」という漢字の部首は、「ぎょうにんべん」ではなく「ぎょうがまえ」だからややこしい。
以下はある本に載っていた文章だが、国語力の不足する私は、むずかしい漢字を読み取るのに苦労した。
読めない漢字を漢和辞典で捜すには、部首の知識がないといけない。 ところが、部首の知識はほとんどないから困ってしまう。
「マックアーサー将軍の豪州逃亡は、何も意外の事実ではなく、彼の比島戦線における遣り口から見て当然の結果である。 比島におけるマックアーサーの戦略は比島人の犠牲の上に実行されたものであった。 ... マックアーサーは常に日本軍の正面に青春に富んだ若い比島人の兵隊たちを送り出し、自らはアメリカ人軍隊を率いて遙か戦線後方に指揮を取っていた。 比島人将校はマックアーサー将軍のこの卑劣な作戦の犠牲になって自己の故郷の土に多数の無益な血を流さなければならなかった。 しかもマックアーサー将軍はルソン島の防衛に失敗するや、戦ひに疲労困憊した比島の兵士たちをバタアン半島の峻険な山岳の中に追ひこみ、わずかに天嶮を恃んで絶望的な抗戦を続けたのであった。 ..... 比島将兵がこれほどの苦しみに陥ってゐる一方、マックアーサー将軍はコレヒドール島の地下深く砲火を避けてアメリカ軍将兵およびその他の家族とともにあるひはダンスに耽りあるひは美食を貪ってゐたのである。 比島人の犠牲においてのみ今日までやうやく戦ひ続けて来たマックアーサー将軍およびその幕僚が圧倒的な日本軍の優勢によりいよいよ窮境に陥った時、突如として比島軍将兵を戦場に放棄したまま豪州に逃げ去った事実は以上の諸事実の単なる帰結に過ぎない...」 (朝日新聞」一九四二年三月二十一日付夕刊)
実際は、インターネット検索を使えば,比較的簡単に目的の漢字を捜すことができる。(そのテクニックは泥くさいものなので、あまり披露できないが)
こうなると、漢字の専門家でない一般日本人は漢和辞典に頼らず インターネットをうまく使いこなすほうが実践的だと言える。
部首などは、カビの生えた学問になるかもしれない。 もっとも、漢字の歴史を大切にする考え方からすれば、永遠に残さなければならない部首の学問なのだが。
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