画像サイズ: 418×580 (87kB) | 確かに案内状には、事後にレセプションパーティがあるとは書いてあった。しかしそれは特別な人に限ると思っていた。ところが、展示品を観終わって館を出てゆく人について歩くうち、前方で係の女の人が、しきりに手招きをしていたのでそのまま歩いていくと、自然と会場へ入っていた。
ここは前に何回か利用したことがあるが、チョット高級感のあるレストランで、すでに大勢の人が卓上のものを自分の皿に移していた。料理のかずも種類も多く、美味しいスープも用意してあった。向かいの机では、紅白のワインが用意され、またコーヒーのサービスもあった。ところで
内覧会は、まず開会式というのが、入り口のホール、マイヨールの婦人像の前で行われた。館長挨拶、学芸員のスピーチ、来賓の紹介などがあり、来賓の内には、フジタの終の棲家となったフランス、エソンヌ県(イル・ド・フランス)からも、ふたりが参列していた。さて
内覧会の感想だが、絵画は当館の所蔵もあるが、フランス、スイス、などを始め、国内でも京都、新潟、埼玉、下関、秋田など各所から集めてあるので、数も多く非常に見ごたえがあった。また、それもいわゆる「乳白色」のものだけでなく、これがフジタかと思わず首をひねるようなものまで、展示してあって驚かされた。今まで画集などで見たことのないものも多く、裸婦などより子どもだとか、肖像画などにもいいものがあった。
フジタはケッコウ自画像への思い入れが強く、例のロイド眼鏡におかっぱ頭が、何度も出て来てきて、思わず頬がゆるんだ。
あっしが一番気に入ったのは「カルチェラタンのビストロ」だったように思う。描写が非常に緻密だったような。また「礼拝」という作品には、修道僧姿のフジタだけでなく、夫人の君代さんも、そのすぐ脇に描きこんであり、夫人に対するこまやかな愛情が偲ばれて、じつに微笑ましかった。この展覧会は、じつは絵画だけでなく、フジタの撮った写真だの、挿絵、さらにフジタの旅先での珍しい収集品がいろいろ陳列してあって、フジタの先入観が大きく訂正された。在欧中交友のあったピカソなどの影響か、ペルーやメキシコのものが数多くあった。
また広い交友関係をあらわすものに、ジャン・コクトーからの書簡があったり、キク・山田の著書の挿絵なども手掛けていることを知った。
当館のお勧めのひとつ、フジタの壁画(ライオンのいる構図、犬のいる構図)というのも、たしかに珍しい。戦争画ではあると思うが、そうでないので群像というのは、あっしにとっては初見であった。
あと気が付いたことをいえば、フジタのサインだが、かれのばあい、大抵アルファベットで、Foujitaと書き、わきに、嗣治と漢字を入れるのが、漢字のないのを見つけた。入れ忘れたのか、それとも、入れない時代があったのか。
10年前、東京は竹橋の、東京国立近代美術館で、フジタの大展覧会があったが、どうしても行かれなくて大変残念な思いをしたが、ことしは見られてほんとうにハッピーだった。聞けば今年はかれの生誕130年で、フジタ絡みのイヴェントがこれからも続々あるそうだ。
ちなみに、10月1日から東京は府中の、府中市美術館で「藤田嗣治展ー東と西を結ぶ絵画」が開催される。これもぜひ、観たいものだ。
☆上記展覧会の会場は、DIC川村記念美術館、展覧会の正式名称は「レオナール・フジタとモデルたち」です。会期は(2016年)9月17日〜(17年)1月15日。 |