死の淵から奇跡的に生還した話
ルルドの泉の奇跡 1961年、アルプス山岳兵ミケーリ氏(当時22歳)は骨腫瘍を患っていた。 病理検査の結果は座骨部の悪性腫瘤が増殖して、尻全体に広がり太ももの関節がはずれていた。 治癒を目指した治療は何も施されず,死を待つばかりという状況だった。 彼は最後の望みとしてルルドへの巡礼を決意した。 ルルドの泉で沐浴してから、彼には痛みの停止と食欲の回復が突如として起こった。 ルルドから戻って1カ月後、彼は松葉杖とステッキを手放して歩くことができた。 悪性の骨腫瘍が,突然どのような治療も行っていないのに治癒したのである。
1902年、フランスのリヨンで医師をしていたカレルは,巡礼団の付き添い医師としてルルドへ赴くことになった。 彼は巡礼団の中に、マリ・バイイという22歳の重体の女の患者を見つけた。 彼女は末期の結核性腹膜炎で4年前から入院生活をおくっていた。手術は不可能、死を待つばかりという状態だった。 彼女の心臓の鼓動は弱く不規則で、呼吸は速く,腹部は大きく膨らんでいた。 なんとかルルドにたどりついた彼女のお腹の上に、泉の霊水がかけられた。 この時点では彼女の様子に変化はなかった。しかし、泉の奥にある洞窟にたどり着いたとき不思議なことが起こった。 カレルは、目の前で彼女の膨らんだお腹が縮まっていくのを見て、完全に治ったことを知った。 カレルは細胞培養法という現代医学における基盤的技術を開拓した研究者であるが、この医学では証明できない奇跡を結局は受け入れた。
川村 則行 (著) 自己治癒力を高める―人体の驚くべき潜在能力 (ブルーバックス) 講談社
この本には他にも、現代医学ではさじをなげた患者が 信仰や自分の強い意志で、奇跡的にがんを克服した例が述べられています。
思うに、生きることをあきらめず、自分の潜在的な治癒力を無意識のうちに引き出したからでしょう。 しかしそれは、誰でもできることではなく、ある種の条件が整ったとき(火事場の馬鹿力のように)思いがけない能力が発揮したということではないでしょうか。
著者は東大医学部卒の医師
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